レオパレス問題の収束~パート2

2月に入りレオパレス21の株価が一時急騰しました。
170円前後から20%上昇の200円台に突入し、市場が『レオパレス問題は収束に向かっている』という評価の表れだと思います。

また、株式市場における一つの安心感も要因かと思います。
2022年4月より株式市場において既存の東証一部上場・二部上場・マザーズ・ジャスダック等の区別から『プライム市場・スタンダード市場・グロース市場』の3市場に分類されます。

(補足)東証(とうしょう)とは東京証券取引所の略語です。

☆プライム市場
高い流動性とガバナンスを備え、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を約束する企業が対象。主に現在の東証一部上場企業が該当しますが上場基準を維持できない企業はプライム市場区分から外れる可能性があります。
流通株式の時価総額が従来の10億円以上から100億円以上に審査基準が変更し、純資産が5億円以上から25億円以上に審査基準の変更となります。要は新規上場基準は厳しくなるという事。

☆スタンダード市場
現在の東証二部上場企業、JASDAQ(スタンダード)と基準が統一されます。上場企業として基本的なガバナンスを備え、一定の時価総額を持つ企業が対象となります。

☆グロース市場
現在のマザーズ、JASDAQ(グロース)の銘柄が想定されます。上場基準は他市場より緩く、高い成長の可能性がある創業後数年の企業やベンチャー企業育成の市場となることが予測されます。

現在のレオパレス21は東証第一部上場企業です。現時点においてレオパレス21は『プライム市場』への移行が決定しております。よって、『レオパレス21の黒字化も見えてきた事とプライム市場への移行が決まったことから今の低価格のうちに株を購入しておこう』という考えの方が多い結果、一時的な株価上昇が起きたのではないかと予測できます。

では実質的なレオパレス21の価値はどう予測出来るでしょうか?
現時点では、コロナ化においても入居状況が81%という数値(管理戸数は約57万部屋・入居が約46万部屋強)さらにはサブリース賃料(アパートの所有者への支払い家賃原価)を市場価値に沿うように減額を進めており、そのコスト減として2022年は約100億円規模のコスト削減が実現するという状態との事。現時点で約20億~50億程の赤字決算を迎えたとしても2022年4月~2023年3月の通期決算においては黒字化する可能性が高いと言える状況だと私は予測します。

レオパレス21だけの問題ではないが、全国の不動産市場において隠れた問題点も指摘され始めているのが少し気掛かりではあります。

問題点1,家賃の滞納者が増加傾向にある
新型コロナ化の国内においては単に飲食店や小売業者、観光業界だけが打撃を受けている訳ではありません。不動産市場においても『転勤』などの人事異動が制限され『空き部屋が中々埋まらない』という現状が起きています。東京23区内においても空き部屋増加(都心に人が集まらない傾向)に伴い、家賃下落率が目立つ状態です。その下落率は20%を超えるエリアも出てきているとの事。
地方においても不景気の流れから『リストラ(解雇)』による空室増加や、学生の一人暮らし減少に伴い苦しい状況。その流れで家賃を支払えなくなっている入居者も増加中との事。
(国内不動産市場の家賃滞納者率は約6%※高い時期では9%に達する事もある)

100部屋満室でも100人中に6人が家賃を滞納するという事は大きな問題だと思います。
レオパレス21はこの家賃滞納者増加問題に加え『実質的に保証人がいない』という人にも貸し出している。家賃滞納者への催促(家賃を支払ってくださいという労務の事)や最悪は強制退去(法的に部屋から追い出す事)という手段をとるのが不動産業界のスタンダードな手法ではあるが、これにはお金も時間もかかる。この公表されていないコストが増えるという懸念はレオパレス21にも大きく存在すると私は思います。

問題点2,部屋の衛生環境劣化問題
国内の不動産会社のほとんどが『ウイルス除去・抗菌』においてサービスが低下している。
入居予定者に『別費用負担での抗菌施工』が主流の不動産業界ですが、この抗菌施工にも問題がある。
居室内に抗菌作用のあるスプレー缶を使用し抗菌施工をしているのは事実だが、『キッチンの換気扇・トイレの換気口・トイレタンク・お風呂内の換気扇』の清掃を怠っている業者が非常に多い。
清掃会社の言い訳としては、『不動産会社からの単価が低すぎる為、そのサービスを施工すると赤字になる』と主張している業者がほとんどである。
不動産会社は入居者から基本清掃費用を契約時に徴収する。

基本清掃費用の目安
・単身者物件(1K.1DK)では3万~4万円
・セミファミリー(1LDK・2DK.2LDK)では5万~8万円
・ファミリータイプ(3DK・3LDK)では7万円~10万円程。

その徴収した基本清掃費用×70%程で清掃会社に発注する。
すると、単身者物件では21,000円~28,000円・セミファミリーでは35,000円~56,000円となり清掃会社の作業における質を落としている状態を生み出している。
通常は、エアコンのクリーニングに1万円程(複雑な機能付であれば14,000円程)必要であり、清掃には作業時間×2,000円×作業人数+諸経費(交通費や材料費)×120%を最低限支払わないと清掃会社は会社として成り立たない。
逆算してみると、
発注単価21,000円⇨エアコンクリーニング(1万円)+8,800円(※11,000円から会社利益20%を差引いた金額)となる。よって、作業時間はおおよそ3時間となる。

3時間で居室内全ての清掃に加えてキッチンの換気扇・トイレ換気口・トイレタンク内の清掃は不可能だろう。1K(25㎡)でも、清潔に仕上げるには作業時間は最低でも5時間は必要だ。これにエアコン作業時間(約3時間)を加えると1日作業となる。よって清掃業者は個人事業主のような一人親方対応でないと生活が出来ない仕組みの業界だ。
一人親方での仕事では情報共有や質向上に大きな支障が出る。
これが現代社会の不動産業界における影の問題点である。

では、この二つの問題点をクリアする方法はないのだろうか。
本問題は実は難題ではなく、これからの不動産業界の変革に必要な改革型解決となるでしょう。

解決策1,家賃滞納者を歓迎する奇策を用意しておく事。

解決策2,不動産会社の利益を見直し、清掃会社への発注単価を上げ、質も上げてもらう事。

解決策2については多くの人が思いつく内容だと思います。
清掃しない不動産会社の利益を減らし、清掃会社に発注単価を上げて質を上げるだけです。
質が高い清掃は必ず口コミで評価が上がります。おそらく同業者から『細かい所にも熱を持って改善しているいい会社だ』と好評を得る可能性が高いでしょう。
それはいずれ情報化社会における後手(指摘されてから改善する事)ではなく、先手(指摘される前に問題点に気づき改善を図る行為)として会社の価値を上げる事は間違いないと私は思います。

では解決策1の奇策を用意するとはなんでしょう。
私の考えは、『家賃滞納者のほとんどが仕事を失っている。収入減を失っている』という問題だと思います。また仕事を失っていなくても『収入が減っている。労働時間が減らされ他に何をして良いか分からない』という点だと思います。
健康で働けるのに働き口のない家賃滞納者は宝の原石かもしれません。

あなたの不動産会社でやってもらいたい仕事はないですか?
あなたのまわりで人材に困っている会社はないですか?
雑用、物件清掃、簡易的なルーム清掃など。その人たちに適正な労働を労働対価を示し、その費用を滞納している家賃にも充ててもらうという事です。

人をモノで例えるのは失礼かもしれませんが、使えない携帯をガラクタだと思っていたら、それはガラクタではなく『宝の原石』だったという事が最近多くの人が知ることになりましたね。
私も驚きました。レアメタルや金・銅などがそんなに携帯電話に使われていたなんて。
大切なことは『資源を生かす事』だと勉強になりました。

国内における資源の一番は物ではなく『人』です。
私達は今一度、問題や課題を洗い出し、『頭を柔らかくして考え、失敗も想定し行動する』という新たなチャレンジ精神を養う必要があるようです。

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