不動産賃貸管理業における管理業務は不動産業の軸となるとても重要な役割です。
管理業務の主な仕事内容は、
1,建物の清掃状況・安全状況の管理
2,お部屋の清掃状況の管理
3,大家(物件所有者)への対応業務
4,入居者の家賃支払い状況の管理
5,入金・振込業務
6,突発的なトラブル・クレーム対応
この業務内容の本質を理解して全体的に首尾よく業務が出来る管理スタッフはごくわずかしかおりません。
建物の清掃状況は経験数カ月で身に付けれます。
しかし、安全状況は建物の基本的な知識や電気回線・水道・ガスの設備について学ばなければきちんとした安全確認は出来ません。
お部屋の清掃状況は、『見た目』だけではなく、『見えない箇所』特にキッチンの換気扇やお風呂の換気扇、トイレの換気扇(換気口)そして、排水口(キッチン・お風呂)の衛生状況も確認し、トイレに至ってはトイレタンク内の衛生状況(カビや汚れを放置していないか)やトイレの見えない裏側まだ本来は確認すべきことです。
実は、お部屋の清掃状況の大切なポイントを確認している管理スタッフはほとんどおりません。
理由は、管理スタッフが汚れたくない、排水口を開けて見るのは嫌だ、トイレのタンクを開けることやトイレの裏側を見たくないという『業務放棄』をしているスタッフの怠慢です。
私は入居希望者には『不動産管理会社の確認できていない所』を丁寧に話、入居者自ら契約前に確認するように促します。この行為は同業者には嫌な行為かも知れませんが、これからの不動産賃貸管理業においては必ず当たり前となる時代が迫っています。
次に、大家(物件所有者)への対応ですが、これには多大なスキルと経験値が必要です。
また大家さんと普段からのコミュニケーションを取っておかなければ、スムーズなやり取りが出来なくなります。
例えば、大家さんの物件から空き部屋が出たとします。築25年の古い物件で、入居者は7年間も住んでくれた部屋です。当然に、経年劣化(年数と共に古くなり交換・修理が必要となる事)が要因で交換・修理をしなければいけない物が多いにも関わらず、管理スタッフは『この大家さんはうるさい人だから、清掃業者にお願いして割安である程度綺麗にしてもらおう』などと安易な考えのもと、業として悪循環な流れを作る事にもなります。
交換・修理が必要な物は必要なんです。それは安全上・衛生上の問題からしても、また所有者の善管業務(事業として人様に貸出す以上、入居者の安全・衛生上必要な措置を取り続ける責任の事)として当たり前です。
管理スタッフも、『言いづらい、話したくない』というのは業務の放棄であるという自覚を持つことです。
そして、色んな癖のある大家さんがいるのは良く分かりますが、その大家さんに誠意を持って『誰のための事業であり、誰のための安全・衛生責任であるか』の本質を嫌でも伝える必要があります。
管理業をただの事務ワークや流れ作業だと勘違いしている人に忠告させて頂きますが、管理業こそプロフェッショナルが求められる誇り高き仕事です。
この管理業を極める事は、賃貸営業、売買業務、そしてコンサル業に繋がります。
この基礎がない賃貸営業や売買営業の人がトラブルを招いたり、顧客から不満やクレームを貰う傾向になります。
嫌な事でも現実と向き合い、事業として将来的に起こり得るリスクや支出を把握し、きちんと伝える事。
そしてそれはなぜ必要なリスクであり、支出なのかを丁寧に分かりやすく説明する能力が大切なことです。
そして、それらを身に付ける姿勢が入居者や大家さんへの突発的なトラブル・クレーム対応も可能とします。
不動産管理業を仕事としてされている皆様は『不動産管理業』を簡単に極められる、私は仕事が出来ると勘違いしないで、日々成長が必要な重要任務であるという管理業務の実態と本質を理解してください。
大家とも、業者とも、社員とも、入居者とも、業に関わる全ての人たちに『この人は頼りになる。信頼できる』と心から感じてもらえる仕事を目指していきましょう。