『10秒間の贅沢』

朝は7時15分ころに起床する。

会社には、8時30分までに出社する。

上司からいつものように、
今日の予定は?
と聞かれ、
成約につながる接客があるかどうかを確認される。

夜の19時を過ぎると、上司に
明日の予定は?

こんな毎日を10年以上も続けて来た。

顧客のアポイントで接客に行き、
接客を終えると眠たい目をこすりながら帰社する。

アポイントもなく、接客もない日は上司が責めてくる。

今月、売上はどうするの?』

そんな責めが嫌で、有力な顧客へ飛び込み訪問を行う。
狙いは、『接客の約束』を取り付ける事だ。

当然、顧客は嫌がる事が多い。
なので、その顧客が『興味をそそる話』を考え準備し、
突撃訪問時に『手短』に勝負する。

こんな毎日を過ごしていると、少しずつ専属の顧客が増えてくる。
当然、要領が悪い自分は、休みも休みでなくなる。

休みの日でも顧客から電話が鳴る。
トラブルやクレーム処理、
中には、契約した顧客から『解約したい』という連絡もある。

夜寝ていても、
仕事をしている夢』を毎日のように見る。

朝起きると、大量の汗と、疲れがしっかりと残っている。

年中、休みという休みもなく、朝から晩まで営業の事ばかり考えてしまいます。

ある程度成績が上がり、歩合給も入ってくる頃には、
後輩が出来てきて、同じように苦しむ後輩に食事を御馳走する。

たまに、何のために仕事をしているのか、
という自問自答を繰り返す。

朝から晩まで仕事、仕事、
わずかなプライベートでは、『お金』を使いたがる人が群れる。

休まる時はほとんどなかった。

そんな時、唯一の『自分だけの贅沢』がある。

成績が悪い時には、何も感じなかった車内からみる景色、
都市高速の上からのぞいたら見える『街の明かり』。

契約が取れたあとには、この景色はどんなふうに映るんだろう。

契約が取れて、一息つけるその瞬間に、
たった10秒間だけ、いつもの景色を見る自分だけの贅沢な時間

契約が取れた安堵からか、
いつも何も感じなくなってしまっている『感受性』が、
一瞬だけ戻ってくる。

誰かに会うと、
お願いごと』や『相談』に『お金のかかる話』ばかり。

この10秒間だけは、誰にも邪魔されたくない自分だけの贅沢。

毎回、この10秒間を感じるために、
どれほどの『我慢』や『孤独』と戦い続けて来たんだろう。

そのご褒美は、お金でない。
お金は、成果の『対価』としてもらうもの。
その対価も、すぐ『お金を使う人』に使われる。

褒美は、その字のごとく、
美しく褒める』行為である。

自分を褒める行為は、私にとっては、
10秒間だけの、いつも見ている景色』を
いつもと違う見え方がするのかどうかを楽しむ行為だ。

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