大家さんの中には、
『建物(物件)の大規模修繕時期の基準を知りたい』と言われる方がおります。
また、『お部屋のメンテナンス(修理・修繕)の目安や基準を共有したい』と要望される方もたまにおります。
まず、私の見解では『建物もお部屋も、入居者にとって安全で衛生的な状態を保つため』というのが原則だと思っております。
建物の大規模修繕については、建物の内部に雨水が長い年数入りこみ、建物の躯体や資材の腐食を防ぐことが重要であり、その意味合いを理解せずに放置しているという事は『もしかすると入居者が生活している中で命に関わる事故を起こす可能性も有る』と知っていて欲しいです。
バルコニーが崩れて大事故を起こす可能性、
階段が抜け落ちて大事故を起こす可能性、手摺が外れて人が転落する可能性、
コーキングを新しく打ち替えていない事が要因で建物の躯体が腐ってしまい建物自体が崩れやすくなる可能性
このような状態を防ぐために、建物の状態にはよりますが、
築年が15年~22年の間くらいにはコーキングの打ち替えが必要です。
当然ですが、屋根上の『防水塗装工事』と『外壁塗装工事』も必須です。
外壁の老化、屋上の老化を防ぐことをしなければ建物内部の腐食も起こりますが、
チョーキングと言われる現象により入居者に迷惑がかかります。
(チョーキング現象)
入居者のスーツや洋服に壁の剥がれてきている塗装がつくと『クレーム』が増えます。
不動産管理会社はこのような事例をもとに『大家さん、大規模修繕をお願いします』と言うケースが多いのではないでしょうか。
次に、お部屋のメンテナンス基準については大きく分けて5点だと思います。
①『入居者が使用できなくなる』という事
②『使用できなくなる可能性が高い』という事
③『安全上において支障が出る可能性が高い』という事
④『新しい入居者が決まりくい原状回復施工になっている』という事
⑤①~④の状態で放置する事は『道義的要素も含めてクレームの要因となる』という事
おそらく、基準を聞いてくる大家さんの心情に多いのは
『大家の支出を減らしたい』
『利益がもっと欲しいから支出を減らしたい』
『金銭的に苦しいから支出したくない』
『不動産管理会社が信用できないから細かく把握しておきたい』
このような理由が多い気がします。
支出を減らす努力を行うのは大切ですが、上記の内容においては『安全義務』であり、
不動産賃貸業の運営においては『そもそもお金はどこから入ってくるのか』という本質を都合よく忘れた判断をしては危険です。
このような考え方で支出を抑える事ばかりに気が向き、やるべきことを怠っていては『誰も得しない』という結果を招くだけだと思います。
エアコン洗浄は入居者が吸う空気でもあり、ダストやアレルギー鼻炎にとっては重要です。
壁クロスやCF(クッションフロア)の交換は『清潔感』をある程度感じれるかどうかが重要です。
タバコの匂いや異臭は当然に禁物です。
トイレの便器、お風呂の蛇口や湯垢の汚れ、キッチンの換気扇洗浄、やるべきことはとても多いです。
ほとんどの大家さんは『賃貸物件を持って経験した』という事ばかりでしょう。
しかし、賃貸業は物件所有者である大家さんが経営主である事業ですので逃げても何もいい事はありません。管理会社が嫌であれば、変えればいいです。
但し、大切な事を行わない上、自分の事ばかり主張する物件オーナーを嫌がる不動産屋も多いのが実情です。
理屈ばかりに気をとられ、本来の目的である『賃貸不動産業により利益を得る為に入居者に少しでも長く住んでもらいお家賃を頂く』という事から逸脱したお考えにならないようお気をつけくださいね。