貸主と借主と不動産会社

最近の傾向として貸主(大家さん)と借主(入居者や事業者)の間に挟まれるケースが増えました。

ここで、いくつかの経験をもとに『こんな準備をしておけばいい』という内容をご紹介させて頂きます。

まず、マンションなどの入居者さんや貸テナントを借りてくれている事業者さんからよく来るご連絡内容は以下の件です。

(入居者さん※事業者さん)問い合わせ事項

・排水管トラブルの為、業者を手配してほしい
・部屋(テナントの内部)の設備に不具合がある
・料金未払いでもないのにガスが止まっている。すぐに手配してほしい
・鍵を失くしてしまった。どうすればいい?
・エアコンが壊れて効かない。手配してほしい
・部屋がなんか臭い。原因を調べて欲しい
・近隣がうるさい。対処してほしい

思っている以上に上記問い合わせは毎月のように連絡が来ます。

ここで、入居者や事業者さんには予め急なトラブルの際のマニュアルを伝えておくのがいいです。

入居者・テナント事業者へのトラブル対応

『トラブルの際の連絡先』を用紙とPDF(電子)にてお渡ししておく
・水道業者・排水配管補修業者の連絡先を記載
・設備業者の連絡先
・ガス業者の連絡先
・鍵業者の連絡先
・最寄りの交番の連絡先

予め、トラブル対応の際には不動産会社ではなく連絡先の各業者へご連絡頂き、
後日に業者もしくは入居者よりご連絡頂けるような流れを作っておくと効率的です。

入居者は早くトラブル対処をが叶い、不動産会社は二度手間なく大家に事後報告が出来ます。

普通は大家さんには事前報告が必要なのですが、急なトラブルは事後報告でも基本は問題ありません。
※一応、大家さんとの管理契約書に記載しておくことが望ましいです

急なトラブルではない相談内容も多く入ります。

(事業者)『テナントに備えついていた業務用のエアコンの清掃をしてほしい』
(事業者)『コピー機の交換は大家負担じゃないですか?』

テナントではこのように『どっちが負担するの?』という問い合わせが多く入ります。
契約時にきちんと取り決めている事が多い為、『契約書を見返してほしい』と私は思うのですが、
めんどくさいのか、電話で済まそうとする人が多いのも事実です。

このような場合にはもちろん契約書通りに説明する事が望ましいです。
それでも何だか納得いっていない様子の入居者さんもおります。
でも契約は契約なので仕方ないのです。

ですが、不動産会社は『丁寧に、冷静に、なるべく柔らかい口調』を意識して対応したほうがいいと私は思います。割と多く、感情的になる入居者さんもおります。

おそらく全国の賃貸管理業に通ずる方々は日々このような対応に追われていると思います。

稀に、『家賃の減額を希望したい』とハードルの高い問題を要望される入居者さんもおります。
特にテナントを借りている事業者さんからの要望が多い傾向です。

ここで、ワンポイント知識をお伝え致します。

マンション等、人が住む目的で貸している賃貸事業であれば『家賃減額は正当』な希望です。
一方的に『家賃のご相談は受け付けていません』と言ってはいけません。
借地借家法上において借主には誠実に説明する義務が大家さんにはございます。
よって、近隣の似た物件の家賃相場などを目安にして根拠を示した形で受け答えする義務が御座います。

一方、テナントではこのような義務はございません。
大家も事業主であり、借りても『商売が目的』で借りている事業者ですので、対等の関係になります。
住む目的の普通の入居者さんとは違います。
それでも、対等の立場である事には変わりない為、お互いに誠実な協議をすることが望ましいです。

貸主と借り手が仲が悪くなっても誰も得をしません。
不動産会社は間に挟まれて大変ですが、これが不動産会社の宿命とも言えますね。

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