理解してほしい不動産屋の事情

長く不動産業に携わっていますと、『そこを分かってくれないの?』という現場に遭遇する事もしばしばございます。
本日は私の体験談をもとに『皆さんはどう思いますか?』という問いかけと共に事例をご紹介させて頂きます。

まず、不動産業者が嫌がる案件は下記のようなケースです。

1位 ただのボランティアのような案件
2位 借地問題の解決
3位 テナント事業者の立退き
4位 売れない土地の売却
5位 入居者立退き問題

この中でも昨今多いのが1位と2位の案件相談です。
2位の借地問題』は地権者(地主)と借主(土地を借りている人)の解決を探る案件です

地権者と借主の双方が話し合いをする際に必ず出てくるキーワードとしては、
私が貸している(借りている)土地の面積はどのくらいなのか
『地代は昔から同じ金額だけど、これが妥当なのか?』
『契約書が見つからない。どうしたらいいのか?』

という3つのワードです

借地は先代、先々代による契約を相続しているケース多く、
子孫の人達がとても苦労しているケースが圧倒的に多い傾向です

そしてその借地問題を解決するには、『準備』がとても大切です

~ 借地問題解決前の準備 ~
・土地の測量図面を作成する(確定測量図面の作成)
・借地部分の面積を確定するために境界を確定させる
・土地の『借地権割合』を調査する
・地主の考えと借主の考えを精査する
・合理的解決案を策定し、検証する

このように準備することがとても多いのが借地問題の特徴です

面積の事、借地代金の事、契約内容の事、
これら全てを合理的に解決案を策定することが先決であり
この準備を怠った交渉や協議は『かえって問題・トラブルを増やす』という
最悪のケースを生み出す事もあります

実際に私どもに相談に来られる地主や借主の中で

すでに揉めている歴史があり、簡単に解決できない状態』でご相談に来る人もいます

解決が難しい状態では弁護士やコンサル業者も『難しい案件ですから最悪は裁判となるでしょう』と説明し、途中途中で活動にかかる経費やコンサル費を頂かないとやらない、というケースが多いでしょう

さて、1位のボランティアのような案件について事例をご紹介させて頂きます。

私共不動産業者は『お金にならない相談事』が多く、世間のイメージより労務負担が大きいです。
しかし、信頼関係がある業者や物件オーナーからの相談事には普通の人ならば嫌がらずに受け入れるケースが多いと思います。意外と人間味のある不動産屋さんもいるのが現実です。

問題は、今まで全く知らない人で『信頼関係がない』のに『ボランティアのような案件』を平気でお願いしてくる人です。
これは大変めんどくさいのが正直な気持ちです。

(例)相談内容
この土地に私の会社の事務所を設置したい。
でも、土地の地主がどこにいるか分からない。
登記簿を見て、その住所に手紙を郵送したが既に住んでいないという事で送り返された。
直接行くには遠い県外だし、何とか地主に話を相談する方法はないだろうか?

皆さんはどう思いますか?

少し話を続けさせて頂きます。
結果、私のコネクションにより不在地主を20日間かけて探し出しました。
仲間の不動産業者やコンサル会社と連携して見つけたのです。

さらに、本当にそこに住んでいるかを確かめる作業をした経緯で地主と直接会話を行う事ができ、
コンサル業者によるプロの接客のおかげで『ある程度の商談』が進む形を作ってくれました。

ここで、一つ注意点があります。
地主は『事務所の建築』にも『土地を貸す事』にも興味はそんなにありません。
ただ、たまたま土地の問題が3つあったことを解決してもらえる可能性がある事を感じて前向きにお話を聞いてくださったのです。

3つの問題は、
①借地問題(実はその土地の北側に2件土地だけ貸している家がある)
②遠方の為、将来はその土地を売るのか、活用するのか悩んでいる
③地主の家族(子孫)にとって、ベストな解決案と実行力がある人を求めている

つまり、地主は私やプロのコンサル業者さんの能力に期待はしていますが冒頭の某会社の事務所の話には全く興味を示していない様子です。
たまたま、活用の一つとして選択肢を設けられる状態をプロが作ってくれたに過ぎません。

後日、某会社は私にこう言います。

(某会社)
『賃料はたくさん払いたくない。地主の希望は高すぎる。検討する』

私はこう言いました。
地主の希望価格はあくまでも希望値であり、交渉の余地はあります。
そもそも借りる意思があるかどうかが私は気になります。

(某会社)
『その辺も含めて検討する』

ちなみにこの会話から2週間後に『もちろん借りたい』と某会社は主張してきました。
しかし、時既に遅しです。

誰も見つけれていない不在地主を労力かけて探し出し、
プロが商談をし、選択肢や含みを持たせた状態で地主との商談が前向きに進むよう手はずを整えてくれたという事は、この案件で労力を使った人たちに『報酬』を準備しなければいけません。
当然、成約報酬を労を費やした皆さんに支払えるようにもするのがプロの役目です。
よって、某会社とは関係のない計画案を策定し地主へ勧めます。

某会社は『自分の主張』ばかりしてきます。
一度も私共の利益については触れても来ず、『プロなら勝手に利益を上げれば。うちは自分たちの商売の事で頭がいっぱい』という態度で会話を進めてきました。

冗談じゃない。こっちに労力もリスクも預けて置いて、誰の何の報酬も約束せずにいいとこどりなんてこの業界では『絶対に成約したくない案件』としてプロは認識します。

この会社は誤解しているのです。
この案件は、『不在地主を見つけてくれたら報酬額いくら』とか、『ある程度商談を出来る状態にしてくれたら報酬額がいくら』という依頼ではなく、フワッと『何とかならないかな』というお願いごとです。与えられたのは登記情報のみ。そんなのは数百円で誰でも取得可能な情報です。

この案件は『誰でもは出来ない難航案件』であり、プロの案件です。
『一番目に声をかけたから』とか、『私が最初に相談したはずだろ』という欲の主張なんて通用しません。それが通用するのならたくさんの不動産会社に出向き、『1番目に相談したのはおれだからな』と主張して回れば良いのです。誰も相手にしないと思いますが。

もう一度言いますが、地主は別にこの会社の話に乗ったのではありません。
この話があるから嬉しいと思ってもいません。
問題解決型のプロと出会えたことに喜びを感じて頂いているのです。

自分が出来ない、もしくはしたくないから依頼(お願い)するのではないでしょうか
なのに、お願い事を遂行した人の『労力』を尊敬せずに、自己主張する人に誰が力をかすもんですか。

皆さんはこの内容をどう思いますか?
お願いする側とされる側の両方の視点で深く考えて頂きたい内容です。

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