本日は不動産賃貸物件をご所有されている大家さんに向けて
『建物の大規模修繕は何のためにするのか』というテーマに沿って記事を公開させて頂きます
何棟も不動産を所有し、ご自身で管理までされている方からすると興味のないお話しにはなると思います
この数年間で私に『そろそろ建物の大規模修繕をしたほうがいいかな?』というご相談が増えてきました
不動産業に20年以上従事し、自らも大家業として日々勉強もしておりますが
『大規模修繕』の自己体験は人生で2度しかございません
人様の大規模修繕計画を一緒にプランニングした件数ではおそらく100件は超えていると思います
最近では、
『大規模修繕をし外壁や内壁の色を綺麗にしたら家賃をあげれるかな?』
『大規模修繕して投資効率は上がるのかな?』
というお声も多く聞きます
まず、根本的に間違っていると私は感じます
大規模修繕は、建物の安全性を保つために行うことが何より優先だと思っているからです
入居者や近隣のかたに迷惑が掛からないように、
事故やトラブルがなるべく起こらないようにすることが大規模修繕の大前提ではないでしょうか
それなのに、
『投資効率がよくなるのか?』
『家賃に反映できるのか?』
と聞いてくる大家さんには少々驚かされます
もちろん、第一優先の『安全性』をしっかりと守りつつ
『せっかく大きなお金を出すのだから少しでもオシャレにしよう』
『入居が決まりやすい雰囲気にしよう』
というのはとても良い欲だと思います
なので、大規模修繕で大切なことは
①安全性を第一に考えた工事にする事
②2番目に入居者が少しでも長く住みたいと思える建物にする事
③その為のプランをきちんと作成すること
③のプランの作成においてはプロの不動産大家さんには不必要かもしれませんが、
不慣れな大家さんであれば『その道のプロ』を交えてプランニングする事をお勧め致します
建物の安全性には『経験豊富な1級建築士』
入居者目線は『経験豊富な管理会社スタッフ』
プランの作成やお金の計画には『信頼できるコンサル業の人(ファイナンシャルプランナー等)』
これから初めて大規模修繕を行う方はくれぐれも
『何のためにするのか』という事をお忘れなく良いプランを作成してもらえたら幸いです
ちなみに、
『大規模修繕しなくても、そのまま売却すればいいんじゃない?』
という方もたまにおられます
もちろん、大規模修繕をせずに売却も可能です
しかし、反対の立場で考えてみてください
ご自分が物件を購入する側であれば
「大規模修繕をきちんとしている物件」と『何もしていない物件』
のどちらがコスト計算をしやすいでしょうか?
売る側は、お金を支払ってもらって御終いです
購入側にとっては買った後がスタートですのでお互いの見方が違いますよね
購入側は「買った後に修繕費用などどれくらいかかるだろうか」という事は
電卓を叩いて計算します。プロがついていれば尚更です
私の持論は、
『大規模修繕をしていない結果、下手に売買価格の値引きを要求されるくらいであれば初めからきちんと修繕している方が良い』という考えです
冷静に考えてみてください
築20年未満くらいのRC造や大規模修繕が数年は必要なさそうな状態であれば分かりますが、
築30年のRC造で大規模修繕はまだしていない状態で、売却価格は値引きされやすい(大規模修繕していない分、その費用を購入側はコストとして見るからです)その上、売却出来ていない状態で本当に建物に何か支障が出て建物価値がもっと下がってしまったり、入居者にケガをさせて大変な経験をするくらいなら割り切って大規模修繕をいれるのが1番だと私は思います
『お金がないから・・』
『大規模修繕のための貯蓄ができていない・・』
金銭的な悩みをもつ大家さんも多いでしょう
しかし、これは『不動産事業(大家業)』です
どんな泣き言を言おうが、
『人様に借りて頂いて成り立つ事業』を営んでいる以上、大家側も結果を求められます
私達は言い訳のきかない『事業主』である事を何よりも忘れてはいけません