不動産会社に支払う管理料の意義

ある大家さんはこう言います。
『不動産管理会社に管理料として賃料×5%も支払ってるのに物件が汚い。』
昔はこのような事を言う大家さんは多くおりました。
おそらくその時代の大家さんが支払っている管理料は賃料×8%~10%だったと思います。

平成の8年頃(1996年~バブル崩壊から数年後)から不動産会社の管理料は賃料×5%というのが主流となりました。
地域の不動産会社から全国展開をしている大手不動産会社に多くの顧客が流れ始めた時代です。

入居者も家賃の1ヵ月分を仲介手数料として支払っていた頃から今では0.5ヶ月(半額)の仲介手数料が主流となり、大家さんが広告料として賃料の1ヶ月~2ヶ月分を支払う令和の時代へと移りました。
もちろん、10年前からこの流れは形として全国的に広がっていたのですが、大多数の大家さんが認識したのは今日この頃のような気がします。

管理料とは、『物件にお住まいの入居者対応』が管理料金の名目です。

・『きちんと延滞せずに賃料を毎月振込んでもらえるか』
・『車や自転車やバイクの違法駐車の対応』
・『ゴミ出しのマナーの対応』
・『近隣クレームや騒音クレームの対応』
・『大家さんへ約束通りの期日に賃料の振込業務』
・『物件の簡易的な点検』※共用灯がきれていないか、故障個所はないかなど。
・『大家さんの代わりに新たな入居者を募集する手配』
・『退去後の修理修繕やルーム清掃の手配』

このように普段から管理会社としてやることはとても多いです。
物件が綺麗かどうかの仕事は『大家さんの仕事』になります。よって、大家さんから管理会社や清掃会社に『別途費用を負担するから物件を毎月清掃してください』と依頼をしなくてはいけません。
清掃費用も含んで賃料×5%の管理料で業として成り立つとすれば、高額な店舗収入が見込める不動産です。普通の賃貸物件では清掃費用は別途大家さんにご負担頂かなければ成り立ちません。

また、管理会社には大家負担の項目は事前に報告・相談する事が必要ですが、時として緊急時の対応では『事後報告』となるのも大いにあります。

例えば、夜8時頃に入居者から『トイレタンクから水漏れをしている』という緊急対応の要請が入ったとします。これを大家さんの許可を取る手間をしていてはその日に解決できず、結果入居者に多大な迷惑をかける可能性があります。
『緊急時は事後報告でも問題ない』というのが実務的だと思います。

もし、管理会社の事を信じて任せられないのでしたら『大家さんは努力をしているか』という事を意識して欲しいです。
大家の努力とは、『普段の管理会社とのコミュニケーション』です。この努力を怠っている大家さんは例え良き管理会社と出会えても中々上手く行きません。
もちろん、管理能力の弱い不動産会社もあります。それでも普段からコミュニケーションを取っていれば解決できることもあり、またその管理会社の強みも弱みもよく知ることが出来ます。
たまに、『俺は(私は)不動産会社に10年以上勤めた経験があるから不動産大家業もよく理解している』と豪語する人がおります。これは大きな失敗をする可能性が高い人だと私は思います。

👉『大家業と不動産業はココが違う!』

詳細を確認されたい方は上記『大家業と不動産業のここが違う』をご参照ください。

不動産会社に勤めている多くの社員はそんなに高給ではありません。
特に管理部の仕事は営業歩合もない裏方の汚れ仕事を引き受ける運命にあります。

・『質の悪い家賃滞納者の対応』
・『質の悪い大家の対応』
・『管理物件の近隣対応』

とにかく、この3点が毎月のように仕事としてやってきます。賃貸の繁忙期(8月末~10月中旬と1月末~4月中旬)になると入居希望者も増えますが、退去件数も増えます。その退去後の元入居者への修繕や清掃費用の請求や大家さんへの説明、大家支払の説明などとんでもない件数の仕事がやってきます。
これに、現在住んでいる入居者のクレームに違法駐車、違法駐輪、ゴミ出しが悪くて町内会からのクレームなどが重なると正直『精神状態』が壊れる人もおります。

自分の物件はほとんどやる事もない優良物件だから管理料を減らしてほしいと思う大家さんは、根拠を元にご相談されるのも一つです。
ただ、本当に見えない仕事とクレームが多い業界ですのでくれぐれも安易なお考えで管理料を盾に強く出るのはやめておきましょう。

実は、不動産会社の離職率は10年前からすると改善されています。
小規模・中堅・大手と数字は異なるかも知れませんが、おおよそ25%以上もあった離職率(10人に2.5人が1年以内に辞める事)は今は10%強ぐらいではないでしょうか。

ただ、この数字は楽観的にみると危険です。
不景気で転職に向かない時期だから今は我慢しているという社員も多いと思います。
もっと問題なことは不動産会社に従事しているひとの『うつ病』が増えている事です。
もちろんどの仕事でもあり得る話ではあります。
不動産会社の管理業のように、『言いたくない事を言う仕事』をしている人のストレスは蓄積されるのでしょう。

私の周りには何十社と不動産会社に勤めている人や経営している人がおります。
『言いたくない事を言わされている人』は深酒をすることが多いな、と感じております。
経営者の方々は案外ストレスを抱え込まない『メンタル力』を備えているのか、深酒をする人はそんなに多くない傾向かな、と感じます。

とはいえ、現場で働く社員さんがあっての不動産管理会社です。
大家さんも『銀行への借金返済や固定資産税の支払い、メンテナンス費用の出費』という毎月訪れるすトレスが多いのも私自身実感しております。
皆がそれぞれのストレスや不安を抱えている中、『お互いに声をかけあう』という普段からのコミュニケーションはとても重要です。
お互いに『感謝』の意識を持ち、尊敬し合える関係性を築く事がこれからは最も重要な事かもしれません。

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