レオパレス21 社員とアパートオーナーの未来

もうすぐ11月2日
東証一部上場企業である大手不動産業のレオパレス21が、
外資ファンド(実態はソフトバンクグループ傘下のファンド)である、
『フォートレス』より570億円の資金支援を受けることになります。

ネットや新聞記事、経済誌などいろいろな見解が書かれています。

ここで、フェアに同社の事を分析し、
今後の展開を分かりやすくご説明させて頂きます。

まず、同社の収益構造は9割近く『賃貸管理事業』が占めています。
つまり、同社のアパートマンションに適正な家賃で住んでくれる人が多ければ
黒字経営となり、住んでくれる人が減ったり、家賃を下げて貸すと赤字経営となる可能性が高い企業財務体質です。

黒字と赤字の分岐点は、
私の見解でおおよそ入居率が83%くらいだと思います。

同社は『入居率80%が採算分岐点』と公表していますが、
この採算分岐点(黒字OR赤字の境界線)は、
あくまで同社がアパートオーナーに支払う『一括借上げ賃料』と、
入居者に貸出す『貸出家賃』の『トントン』となる境界線だと思います。

つまり、従業員5,000人の同社の毎月の給料や経費が、
ざっくり月額30億円程は必要ですので、細かい計算をしてみると
『入居率83%』ぐらいが、真の採算分岐点だと思います。

9月までに、従業員1,000名以上をリストラ(希望退職含む)し、
6,500名の従業員が5,000名ほどに減少、さらに今後もリストラを加速させると、
同社の従業員は4,000名ほどになるのではと予測しています。

今回の外資ファンド(フォートレス)は、とてもドライで、シビアな経営戦略を持って経営陣の中心に入りこんでくることは間違いないと私は思います。

皆さんも想像してください。
潰れそうな企業に600億円近くも投資をしますか?
もしも投資をするとしたら、
『確実に儲かる自信がある』時にしか出資しないですよね!

フォートレスが目を付けたのは、同社の管理戸数58万戸の部屋数です。
北海道から沖縄まで『単身者専門』として、物件を構えている同社の数には
外資も笑顔で電卓を叩いてきたのでしょう。

まず、プロの外資ファンド経営陣の思考としては、
『原価の削減』『IT化、デジタル化による労務の削減』
がテーマだと思います。

では解説致します。

『原価の削減』と言う言葉の原価とは何を指すか!

つまり、
従業員の給料やアパートオーナーに支払っている一括借上げ賃料です。

従業員をさらに1,000名減らすと、毎月5億円規模の原価経費が減ります。
そしてアパートオーナーの一括借上げ賃料は、公表されている280億円ですので、約10%削減すると毎月28億円もの支払い原価が削減されます。

足すと、合計で月額33億円ともなり、現在の赤字分を丸々帳消しでき、早期黒字経営が出来ます。

おそらく、今年から2021年の4月頃までは、
『どの部署の従業員が不要か、どの年齢のどの役職者が不要か』
という事を見極める期間として精査するでしょう。

アパートマンションに至っては、
赤字物件と黒字物件を色分けし、
改善点の見えない赤字物件は、賃料支払いの解約を通知し、
改善の見える黒字候補の物件には賃料の適正な減額を通知し、
黒字物件には丁重に扱うという展開となる、と予測しています。

この流れは、別に同社だけではありません。
大東建託も東建コーポレーションも、積和不動産に大和リースも、
すべてのハウスメーカー、中には地元のサブリース業者
でも行っている事です。

ただ、違法建築問題が騒がれた2年前よりレオパレス21の最近の傾向としては、
正直に仕事をしているように見え、アパートオーナーの家賃減額に中々手をつけていない様子です。

この短期間の中途半端な甘さが、
長期的にアパートオーナーを苦しめる結果ともなり得ます。

違法性がない物件も多数ある中、普通に赤字の物件もあるはずです。
借地借家法に従って適正に一括賃料を定期的に減額すればよかったのです。

また、同社のアンチ団体も存在していますが、
200名くらいの小さなアパートオーナーのアンチ団体です。
(同社のアパートオーナーは全体で3万人います)
同社に非がある事は認めて、しかし、おかしいと思う事には裁判で徹底的に争えばよく、また同社とのアパート契約も解約すればいいかと思います。

そんなに同社を批判するのであれば、批判団体は自分たちでアパート経営をすればいいんです。不動産事業は慈善事業ではありません。
ましてや、他のハウスメーカーでは、
もっとひどい目にあっているアパートオーナーも山ほどいますよ。

結果、同社は『良き協力者であるアパートオーナー』であっても、
物件が赤字続きであれば、外資から守れない企業として歴史に名を刻むことになります。

賃貸管理としては、リモートやデジタル機能を生かして運営していくでしょう。
『VR』を使い、お部屋まで物件案内をせずに契約を頂けたり、
同社が既に始めている『紙や印鑑の要らない電子契約』によるお部屋の入居付けも魅力的です。

また、今後は賃貸のニーズに合わせた、その地域の特性を把握し、
おのずと賃貸管理で黒字化を達成するでしょう。

結論から、私は同社の倒産はなく、黒字化すると思います。
ただし、
『社員は4,000名以下にするために更なるリストラの実施』
②『赤字続きのアパートオーナーへは解約・大幅な賃料減額』

が、外資系ファンドの黒字化計画だと思います。

おそらく来年の夏・秋くらいには『株の配当』も発表するくらいまで
回復(上記①②を実行後)しているでしょう。

そして株主も喜び、株価は上昇!
そこでファンド会社のフォートレスが同社を売却するのか、
儲かるからと所有し続けるのかを判断するのは2年後くらいではないでしょうか?

一部メディアでは、
『経営計画として3年間は見据えている』と記事にしていますが、
プロの外資系ファンドは早期収益改善が見込めない投資はしません。

今年の11月2日から約2年後の2022年秋ごろが同社の新たなる分岐点(社名が変わったり、経営陣が新たに変わる)となると予測します。

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