不動産を売買する際に、『農地転用が必要かどうか』が気になるときがあります。
売買の対象となる土地が『市街化調整区域』に該当していたり、土地の現況が『畑や田』であるときです。
農地とは、田や畑、果樹園などの耕作地のことです。
家庭菜園のような、宅地と一体で小規模のものは農地とは呼びません。
そして、登記簿謄本で登記されている地目についても、
田または畑と登記されているものが農地です。
まず、農地転用で重要なことは、現況です!
現況が『畑・田』であれば、農地転用の届出制か許可制が必要となるケースが多いです。
市街化区域の『畑・田』であれば、
農業委員会へ『農地をやめて、宅地に変更して売買します』という届出が必要です。(届出制)
市街化調整区域であれば、
農業委員会へ『農地をやめて、宅地に変更して売買します。(※農地法5条許可)』『農地のまま第三者へ売買します(※農地法3条許可)』という許可を取得する必要があります。(許可制)
ちなみに、届出制は、届ければ完了しますが、許可制は許可がおりるまで取引は行えません。ご注意ください。
行政書士へ農地転用を依頼した場合にかかる費用は、土地一筆につき、約3万~5万円くらいです。
◆法律上の問題もあります!
農地は農地法という法律で守られています。
①農地法の許可なしに建築行為はできない
②農地法の許可証・届出受理証がないと、所有権移転登記ができない
③農地を無断転用していると、地目変更登記ができない
④市街化調整区域は、建築許可・農地転用許可がないと建築確認申請が出せない
◆農地転用の許可を取得しないと、『実務上の問題』もあります。
①住宅ローンの融資実行が受けられない
②工事の差し止めや現状回復命令が出る
次に、地目についてです。
農地転用が必要な登記簿上の地目は「畑・田」の2種類です。
たとえ、現況が「畑・田」などの農地ではなくても、登記簿上の地目が「畑・田」であれば、農地転用が必要です。
例えば、市街化調整区域の土地で、現況は空地や更地で草が勝手に伸びているような状況で、登記簿上の地目が原野や山林だった場合。
この場合は農地転用の許可は必要ありません。
農地法では「農地」とは「耕作の目的に供される土地」となっており、登記簿上の地目が山林、原野などでも現況が農地の状態であれば農地法の規制を受けることになります。
つまり、
地目が『畑・田』であれば絶対、
地目が『畑・田』以外でも現況が農地である場合、
農地転用の届出制(市街化区域)か許可制(市街化調整区域)が必要
という事です。
失敗しないように、売買取引の前の準備として『その土地を管轄する農業委員会へ確認』を必ず取ってください。しっかりと教えてもらえます。
地域の農業委員会を調べる方法は、インターネットで、『〇〇県〇〇市の農業委員会』と検索すれば出てきますよ。
【補足】※農地転用に必要な手続き
①地目変更登記申請書
法務局のホームページから、申請書の様式をダウンロードすることができます。
②土地の案内図
地目を変更したい土地の場所がわかるようにした地図を添付します。
住宅地図を用いることが多いとされています。
③農地転用許可証などの農地関連書類
農地についての地目変更登記の場合は、農地転用許可証・転用届受理の通知もしくは非農地通知書を添付します。 非農地通知書は当該土地のある農業委員会から送付されます。この通知書は農業委員会の調査と議決によって発出されるものであり、申請しなくても農業委員会が当該土地は農地でないと判断すれば非農地通知書は送付されます。 ただし、この調査は順次の発送であるため、転用による地目変更登記のために非農地通知書を必要とする場合は、非農地通知申出書を農業委員会に提出することになります。
④その他、申請者の事情により住民票など身分を証明する書類が必要になる場合もあります。
本サイト(本音で語る不動産やさん)は、250項目以上の記事を載せています。
記事の内容はお金や保険、投資(不動産・株・FX・太陽光)、実務的な内容やメンタルの管理の仕方まで様々です。
全て無料にて閲覧頂けますので、よろしければ本サイトの『読者登録』をしてもらえると嬉しいです。
また、本サイトの記事をご参考にして頂き、少しでも皆様の生活や仕事が豊かになって頂けますと尚嬉しいです。^^
参考記事➤不動産売買 トラブルに巻き込まれた失敗話