企業のリストラ(人員削減)の手口

企業には昔から変わらないリストラ(人員削減)があります。
昨今のコロナショックによる不況の影響から赤字決算となる企業が続出しました。
さらに、テレワーク(勤務先に出勤せずに仕事をする事)や仕事のAI化に伴い、人員を削減する傾向が強まっています。

大手銀行は、銀行にいる窓口の社員を減らします。
ATMやインターネットでの銀行取引で大半を賄えるからです。
郵便局も同様です。さらに、配達や配送の郵送物の仕訳もテクノロジーをどんどん使いこなし、人員を減らす意向です。

他、サービス業や飲食業、証券・保険・不動産・建設と全ての分野においても人員削減は加速します。
企業は、『人を守る』ことよりも『会社組織を守る』ことを優先します。
ただ、悪式企業スタイルとしては、『会社組織を守る』事より、甘い汁をすっている年寄りの社員(役員や上級管理職など)を最優先とします。
つまり、人事の決裁権や事業の権限を持っている上の人達は、まず自分の事を最優先に考える傾向にあるという事です。

『社員は宝だ!』とか、『社員は会社の命だ』とか、『社員は我が子だと思い育て、守る』という事はほとんどありません。
ごく一部、そのような経営者がいるとすれば、創業者(初めにその組織を作り、会社を成長させた人)と言われる人ぐらいでしょう。

昨今の大企業で、創業者が生きていて、現場に出ている人はごく少数です。

例えば、ファーストリテイリング(ユニクロ)の創業者である柳井さんや、京セラの創業者である稲森さんなどです。
このようなカリスマ性と実力を兼ね備えている経営者は稀です。
他にも、カリスマ性を感じる経営者と言えば、『星野リゾート』を運営する創業者、星野さん。世界規模の大企業へと成長させたソフトバンクグループ会長の孫さんも有名ですね。

ですが、実際に現在の企業に多いのは『サラリーマン社長』です。
カリスマ性は乏しく、能力も判断力も劣っているが、社内営業が上手くて社長に上り詰めた人たちです。
このようなYESマンが出世する会社は衰退します。
なんせ、新しい抜本的な事業展開をする度胸と覚悟、そして決断力が弱い傾向だからです。

このような『上層部にYESマンが多いサラリーマン気質』の企業は衰退しますが、上層部のYESマンたちは『自分たちにとって、やっと手に入れた甘い環境を失いたくない』という考えのもと、赤字企業を黒字化にするために全力を出します。

まずは、リストラ(人員削減)です!リストラにはいくつか手法があります。

1つめは、『希望退職を促す』手法です。
退職を希望してくれた社員には、通常貰える退職金にプラスした金額を支払うことを約束し、退職してもらいます。
例えば、23歳から勤めている企業で、27年間勤続の50歳会社員が定年(60歳~65歳)を待たずに辞める場合では、平均退職金は、約1500万円です。
これに+加算として、1500万円×1.5倍とするのが、退職金の加算手法として多いやり方です。
よって、この人の希望退職をした場合の退職金は約2,250万円となります。

企業の考え方としては、この人が、50歳から定年までいてもらうより人件費が安く済みますので、お得です。
例えば、この人のような50歳の企業人の平均年収は約1000万円ほどです。
よって、企業からすると60歳まで勤められると、1,000万円×10年(1億円)も人件費がかかるため、早めにやめてもらう方がお得です。

稀に、企業に利益をもたらしてくれる優秀な社員もいます。
そのような利益を多額にもたらす社員はリストラの対象になりにくいでしょう。

2つ目のリストラ手法は、『社員のあらさがし』です。
不正をしている社員や不正をしたことがあるだろうと思われる社員を徹底的に探します。
会社の出張と偽って新幹線や飛行機のチケットを手配します。そして、実際には出張をせずに、金券ショップなどでチケットを売却します。
昔から頭の悪い社員がよく使う『カラ出張詐欺』です。
そんな奴いるのかって思う真面目な方が多いとは思いますが、意外に多いんですよ!私も企業人として、カラ出張詐欺した社員を何人か見つけたことがあります。

また、不正にはいろいろありますが、基本的には『会社のお金を不正に使った人』と『会社に多大な損害を与えた人、もしくは与えかねない行動をした人』が不正人物としてマークされます。

小さなことですが、『定期券の未購入による交通費の搾取』や『社有車のプライベート使用』などもあり得ます。
また、『セクハラ・パワハラ・モラハラ』は一発で退職を促されます。
飲酒運転は論外です。これは『性的暴力や性的嫌がらせ』に匹敵するか、超えるくらいの大罪です。よって、このような社員には退職金も支払わずに辞めさせてもいいという法律がありますので、一発退場です。
このような社員を強制的に辞めさす行為を『懲戒解雇』と言います。
懲戒解雇では、退職金はもらえません。また、損害によっては、企業や損害を与えた個人へ『損害賠償金』も発生します。

3つ目は、とても残酷ですが、『生き地獄式』のリストラです。
その社員の給料やボーナスなどを大幅にカット(減額)します。
減額理由は様々な理由をつけてきます。
『役職に見合った成果がない、そして今後も見込めない』というのがセオリーでしょう。
また、給料を大幅に減額しただけではなく、その方の勤務先を変えたり、仕事内容を変え、きつい雑務を背負わします。
例えば、年収1000万の人に、半額の年収500万円とし、さらに勤務地を都会から地方に移します。
仕事は、大変なパソコンでの入力作業に、現場管理や地方の赤字支店の責任を取らせようとされたりと、とても甘くない世界です。
こんな仕打ちを受けた方の大半は『精神的』に病みます。

企業であれば、法律やモラルを大切にするのでは?と思う方もいると思います。
たしかに言い方は悪いですが、中小企業よりも待遇やモラル度は高いと思います。しかし、大半の企業は、社員は家族だという雰囲気の中小企業よりも愛情は薄いため、いざとなればドライな行動に出ます。
しかも、万が一に備え、『法律』と『モラル』を守りつつ、ギリギリのラインでリストラを実行します。

これから企業に勤めようとされている方や、実際に企業に勤めている方には、『明日は我が身』という事も視野に入れて、自分の人生と自分が守りたい人たちを守るためにも、生きる実力をつける必要があると思います。

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