本日は、親や先代から『土地を貸している(借地)為、他人の建物が建っている状態』にある不動産を相続された方や、相続させる側の悩みについて触れていきます。
まず、借地問題において大切な準備といたしましては、
①土地の境界確定をする事
②確定測量図を作成する事
③今の借地人(土地を借りている人)との契約内容を確認する事
④土地の固定資産税評価額と納税額を知る事(出来れば今年~過去3年程)
⑤将来、その土地をどうしたいのか地主側の考えを整理する事
⑥将来、借地人はその土地建物を継続して使用したいのかを確認する事
以上の6点を確認する事が大切です。
ここから実務的なお話をさせて頂きます。
まずは、現在と将来を考える事が大切です。
【借地部分の将来課題※予測課題】
1,借地の問題を子供、孫の世代に引き継いでいっても問題が起きないか不安
・このまま借地契約を放置しても良いのか
・借りている方も相続が起きる為、
お互いの信頼関係がないまま権利だけが相続される可能性がある。
2,土地の価値としても借地の問題は解決したほうがいいのではないか
・土地の形も整う為、借地問題は解決したほうがいいのではないか
・いざという時に、『使いやすい、売りやすい』状態を作るべきではないか
以上、大きく2点の将来課題を定義させて頂きました。
ここから、具体的に借地人(借りている人)に対するアプローチ手法をお伝え致します。
◆アプローチ手法
①『現在の借地契約を見直す』という事をテーマに、借地人に接客を実施
②借地契約という共通のテーマを下に、借地人の考え方や背景を確認
③短期、中期、長期のいずれかで借地問題が解決できるのかを①②より模索します
◆地主側のリスク
①『確定測量図』の面積と昔の借地契約の面積が違う場合があります
よって、最悪は借地賃料の値下げを要求してくる可能性も御座います
【参考数値】
●現在は330㎡(100坪)の土地を貸している契約(月額土地代は6万円)
●土地の確定測量図を土地家屋調士に作成してもらったら、『実際は300㎡(90坪)』だった
(面積:330㎡)⇔(新面積:300㎡)
(現在月額賃料60,000円)⇔(新面積月額賃料:54,600円)
※現在は330㎡で6万円なので、1㎡182円となります
確定測量図を基に接客をする事が大切ですので、『売買』のお話しになれば地主に少し有利ですが、
借地契約を継続する事となれば『値下げ交渉』をされる可能性が御座います。
対策と致しましては、土地の固定資産税評価額は上昇傾向となりますので、
値上げのお話しを匂わせる事です
つまり、㎡単価(賃料基準)を上げる要素が高いというお話を根拠を持ってする事です
接客における『目的優先順位』としては、基本的に
①『借地問題の解決糸口を見つける事』
②『今すぐに解決できなくても、解決できる要素を見いだす事』
③『最悪でも借地契約を現状の賃料、出来れば値上げ交渉を成功させる』
以上の優先順位で接客する事がベストだと思います
『固定資産税の3倍~5倍程』を賃料設定とするケースが多いです
他にも駐車場として何台駐車でき、月極駐車場の場合ではいくら稼げるかを基準とし、賃料設定するケースも御座います
【接客後の予測結果】
- 相手方が色々な理由を付けてきて、接客が実現しないで一旦終わる事
- 現状の賃料から値下げしてほしいと相手方も強く粘ってくる事
(その場合には保留とし、次回接客を数カ月延ばします) - 新しい面積、現状の賃料で借地契約を今の借主名義にて締結し直す流れとなる事
- 新しい面積、現状より少し値上げ出来た賃料で今の借主名義にて締結し直す流れとなる事
- 借地を返す目途を相手から聞き出し、借地の売買の流れを作れる事(短期・中期)
※相手方が土地を買いたいのか、借地権利を売りたいのかの確認です
ここは大切なポイントですが、この時には安易に金額のお話しはあえてしません。
変に欲を出させない為(期待させないため)です。
借地問題における接客が出来る方は、不動産業界でも多くはいません。
この借地問題は、地主にとっても借主にとっても、とてもデリケートな問題であるからです。
さらに、次の次の一手まで考えた接客(高度な接客スキルと実績)が不可欠となります。
皆様の中にも借地問題の解決に手をつける時には、本記事を参考にご利用いただき、
質の高いお打合せに活用して頂ければ幸いです。