テナント契約の注意点

本日はテナント契約における注意点を中心とした記事をご紹介させて頂きます

【テナント(店舗)契約の注意点】

1,テナント契約において賃料免責事項は必要か?

2,敷金の目安は?敷金と保証金はどちらの文言を使うといいのか?

3,賃料の増減に関する項目は入れたほうがいい?

4,違約金や損害賠償に関する項目は入れたほうがいい?

5,メンテナンスの項目は細かく記載する事が大切!

それでは、私共なりの解釈をさせて頂きます。

まず、上記項目においては借主側や仲介業者と事前によく話し合いを行うことが大切です。

話し合いもせずに「一方的に決めつける」と相手方にストレスがかかり、
『やっぱりこの人から借りるのはやめようかな』となるからです。
仮に借りてくださっても、その後の関係性が悪くなるといけません。
もちろん、妥協したくない事は妥協しなくて良いのですが、丁寧に事前にお話合いをすることが何よりも大切です。

①の賃料免責に関する事項においては、相手方(借主)の意向や状況にもよると思います。
※賃料免責とは、実際に借りるのが11月1日だとして、賃料の支払いが発生するのが12月分からなどある一定の期間は家賃を免除してあげる事を言います。

一般的には、借主は事業を営む前に内装を施す必要がありますのでその期間を1ヵ月~2ヶ月くらいと設定し、賃料をその期間は免除してあげるケースも多いです。
しかし、中には『賃料を安くしてあげているんだから免責期間は設けない』とする大家さんもおります。これは双方が話しい決める事なので強制力はありません。

②の敷金の目安ですが、地域により異なります。
3カ月の所もあれば1年分を預からないと貸さないという物件もあります。
特に水商売系は急に廃業するリスクが高いと不動産業界では思われがちな為、より多くの敷金(保証金)を預かるケースもあります。

ちなみに、敷金と保証金は同じような意味合いです。
どちらも、『万が一、家賃を滞納したり、急に事業者がいなくなったりした場合』の担保という意味合いです。

③の賃料の増減に関する項目は入れても入れなくても構わないのですが、昨今では入れるケースが多いと思います。アパート・マンションなどの『住む為の家賃』とは違いテナントは『事業を営む為の家賃』ですので、大家も借主も対等です。
※住む為の賃貸事業では借手が強いです。

よって、双方の言い分においてどちらの根拠が真義性がるかがポイントだと思います。
とはいえ、事業者(借主側)が不景気でどうしても数カ月くらいは家賃を半分にしてほしいと言われた際に、大家さんとしては『空きテナントになるくらいなら・・・』と妥協してしまうケースも多いです。借主もない袖は振れないですからね。

④の違約金や損害賠償の項目は入れたほうがいいです。
中には、契約違反をする借主もいます。普通の事務所として貸したつもりがいつの間にかペットショップになっていたなんて事になったら大ごとですよね。
そんな時の『解約事項』や『損害賠償』に関わる項目は必須です。

また、大家側も違反する可能性ももあります。
給排水(水道や下水道)においては問題ないとしていた契約にも関わらず、借主側が借りてからすぐにトイレの排水から異臭がしたり、詰まったり、水道のお水が『赤水(配管の錆びが水に混じる)』が出たりとしたときに、大家さんが『知らない。そっちで修理してくれ』なんて言われたらたまったもんじゃないですよね。

⑤のメンテナンス項目に関する事項もこれに付随して『こんな時はどっちが負担するのか』をきちんと取り決めて置く事が大切です。

『メンテナンス項目(例)』

  • 建物外装および構造躯体に係るもの(附属設備を含む)※甲を大家さん、乙を借主と仮定
 

保守管理及び修繕内容

備考

負担区分

1)外壁

および基礎廻り

1.

構造クラック等の改修工事(内外部全躯体共通)

 

2.

経年変化による塗装、吹付替および張替

 

3.

仕上げ材の破損および剥離

経年劣化によるもの

4.

外壁コーキング不良及び劣化による漏水

経年劣化によるもの

5.

建物本体、外構、隣接家屋の沈下による改修工事

 

6.

金属仕上げ部分の防錆処理および塗装(金属製幕板等)

 

7.

床組および下地材腐食による陥没沈下改修工事

経年劣化によるもの

8.

害虫等駆除(ゴキブリ、ダニ、ねずみ等)

 

2)屋上、

屋根および庇

1.

防水材欠損による改修工事

 

2.

防水保護層および仕上げ材の割れ等の改修工事

 

3.

防水廻りコーキング不良および劣化の改修工事

 

4.

雨水排水ドレーンの改修工事

 

5.

屋根葺材飛散、破損による改修工事

 

6.

各種金物基礎廻りの割れ等改修工事

 

7.

各種金物防錆処理および塗装工事

 

8.

露出防水保護塗装の塗替

 

9.

軒樋、堅樋の修理、取替

 

10.

軒樋、堅樋の軽微な補修

 

  • 内装および内部躯体に係るもの
 

保守管理及び修繕内容

備考

負担区分

1)水廻り、防水に係るもの

1.

各種設備配管の漏水による改修工事

 

2.

内部防水材欠損による改修工事

経年劣化によるもの

2)内装材

に係るもの

1.

入園者の過失責任による改修工事

 

2.

経年劣化による張替および塗装

 

3.

釘・ビス穴の改修工事

 

4.

仕上げ材自然破損および剥離の改修工事

 

3)建具および建具金物に係るもの

1.

外壁面建具廻りからの漏水改修工事

 

2.

開閉不良による調整および軽微な改修

 

3.

開閉不良による修理・取替

 

4.

ガラス破損の取替

 

5.

盗難防止用の錠替

 

6.

鍵紛失による再発行および製作

 

  • 外構に係るもの
 

保守管理及び修繕内容

備考

負担区分

1)舗装床

1.

土間・舗装床・道路等の沈下による改修

 

2.

仕上げ材摩耗・割れ等の改修

 

3.

排水不良による改修

管理上のものは除く

2)門柱・門扉・塀およびフェンス

1.

入園者の過失責任による改修工事

 

2.

門扉・フェンス等の防錆処理及び塗装

 

3)駐車場

及び駐輪場

1.

鉄部防錆処理及び塗装

 

2.

塗装床ライン引き直し

乙の都合によるものを除く

4)植栽

1.

立枯等の植え直し

 

2.

水撒き・下刈・手入れ等

 

3.

剪定

 

4.

害虫駆除

 

  • 電気設備に係るもの
 

保守管理及び修繕内容

備考

負担区分

1)引込み幹線設備

1.

定期点検及び官庁定期点検報告

 

2.

受変電設備の修理・取替

 

3.

敷地内供給会社電柱の移設

 

4.

建物内配管線の修理・取替

 

5.

建物内配管線の点検・調整及び軽微な補修

 

2)電灯コンセント及び防災工事

1.

白熱灯、蛍光灯、グローランプ等の消耗品の取替

 

2.

非常用蓄電池の取替

 

3.

コンセント・スイッチ等の修理及び取替

 

4.

コンセント・スイッチ等の点検・調整及び軽微な補修

 

3)インター

ホン及び電話設備

1.

機器設備等経年変化による修理・取替

 

2.

機器設備の点検・調整及び軽微な補修

 

3.

交換機追加機能取付工事

 

4.

機器設備の保守管理

 

5.

局線の追加変更工事

 

4)テレビ

共聴設備

1.

共聴アンテナ等の修理・取替

 

2.

共聴アンテナ等の点検・調整及び軽微な補修

 

3.

電波障害による改善・取替

 

5)防災設備

1.

定期点検及び官庁定期点検報告

 

2.

機器設備の取替

 

3.

機器設備の点検・調整子予備軽微な補修

 

6)昇降機設備

1.

定期点検及び点検内容報告

 

2.

機器設備の修理及び部品取替

 

  • 給排水衛生冷暖房設備に係るもの
 

保守管理及び修繕内容

備考

負担区分

1)給水給湯排水通期設備

1.

水質検査及び官庁届出業務

 

2.

営業届出等官庁届出業務

 

3.

機器設備の保守管理

 

4.

給排水管内再生工事

 

5.

各給湯器の修理・取替

 

6.

各給湯器の点検・調整及び軽微な補修

 

7.

水栓及び付属品の取替

 

8.

パッキン等の消耗品の取替

 

9.

グリストラップ等各種枡排水溝及び各種トラップの清掃

 

10.

排水トラップ等の修理・取替

 

11.

排水トラップ等の点検・調整及び軽微な補修

 

12.

排水目皿等の修理・取替

 

13.

排水目皿等の点検・調整及び軽微な補修

 

2)衛生器具設備

1.

便器、洗面器等の修理・取替

 

2.

便器、洗面器等の点検・調整及び軽微な補修

 

3)冷暖房

機器及び配管設備

1.

機器設備の保守管理

 

2.

機器設備の修理・取替

 

3.

機器設備の点検・調整及び軽微な補修

 

4.

機器設備の配管の修理・取替

 

4)換気設備

1.

機器設備の保守管理

 

2.

各機器の清掃

 

3.

機器設備の修理・取替

 

4.

機器設備の点検・調整及び軽微な補修

 

5)消火設備

1.

定期点検及び官庁定期点検報告

 

2.

消火器薬液・ガスの詰替

 

6)厨房設備

1.

機器設備の保守管理

 

2.

機器設備の修理・取替

 

3.

機器設備の点検・調整及び軽微な補修

 

7)入浴設備

1.

機器設備の保守管理

 

2.

機器設備の修理・取替

 

3.

機器設備の点検・調整及び軽微な補修

 

8)※1甲が乙へ引き渡した設備

1.

機器設備の保守管理

 

2.

機器設備の修理・取替

 

3.

機器設備の点検・調整及び軽微な補修

 

修繕・保守管理(メンテナンス)の項目は多いですが、テナントの設備や状態によってより細かく記載しておくことがもめごと防止に繋がります。

『この費用はどっちが負担するの?』と聞かれた時に『ご契約書にも記載がある通りあなた様のご負担です』と説明すれば、相手方も渋々ながらも『しょうがないか』と理解するケースも多々あります。

皆さんもテナント契約は項目漏れがないように丁寧にご確認くださいね

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