テナントの賃貸契約における注意点

全国的にテナントの空きが目立ってきました。
ウイルスの影響による経済の流れがだいぶ戻って来たものの、今までのように成約できていたテナントも手こずる傾向かなと感じます。

不景気の時のテナント契約をし易くするための一つとして、1つのテナントを区分し、2つに分けてテナント費用を少額にして貸し出すという手法がございます。

六条テナント 野洲市六条[店舗(区画) 2階 8.25万円] | 滋賀野洲の地域密着【賃貸・売買・マンション管理】大生産業

例えば、部屋の広さで例えた場合に3LDKくらいの広さがあるテナントを区分(分ける)し、1LDK×2戸のテナントにするようなイメージです。

今までは3LDKくらいの広さで30万円でテナントを募集していたのを、2戸に分けて1戸15万円×2で募集したら反響が増えたという声をよく聞きます。
出入口が1か所しかない場合で中々区分がしづらいと思っている方も一度建築士に相談してみても良いかと思います。(構造によっては数十万程で出入口をもう1か所増やす事も可能です)

本題である『テナント契約の注意点』に進みます。

既に存在しているテナントの空室募集は上記のような案を検討したり、不動産管理会社と連携して色々な事業者へ提案営業を行えばよいかと思いますが、今から建築する新築テナントはいくつか注意点がございます。

『新築テナントにおける注意点』

①建築前もしくは建築中のテナントでの新規テナント契約(賃貸借契約)を予約締結しておくには貸主と借主の条件を細かくすり合わせておかないと後々トラブルに発展するケースもある

②潰しが効くテナントの形態か、潰しが効かないテナント設計なのかをよく理解しておかないと空いた時にとても苦労する

では、①のトラブル例をお伝えさせて頂きます。

そのテナントは建築前(建築中)のテナントでした。
契約は10年契約(自動更新型)の賃貸借契約でしたが、途中で借主が解約を求めてきた場合の決めごとを載せていませんでした。
そんな状態の中で、まさかのテナント完成時に『不景気になって経営が厳しくなったからやっぱり借りない(本契約は締結しない)』という事態がおきました。

2008年~2012年(リーマンショックからの国内外経済不調時期)にこのような出来事は本当に多く多発しました。

無い袖は振れないのは理解出来ますよね。
しかし、テナントの大家さんも大変です。その借主から『私が10年は最低でも借りるからテナントを作ってほしい』と頼まれて建築しているケースもあるからです。

この時は飲食店としてのケースでしたので、仕方なく完成後に他の飲食店向けに募集し、結果予定賃料の80%くらい(当初計画賃料月30万円×80%=月24万円)で貸し出していました。

月に6万円も計画より低く、年間にすると72万円もの損失に感じますよね。
当然、その時期はどこも不景気でしたので『建築費用を銀行から借りているから、その分は何とか返済が出来てまずはほっとした』という心理状態となっていました。

②の『潰しが効くテナント設計かどうか』について例を出します。

上記①のような飲食店向けテナントのような事態になった時は、他の飲食店を探します。
しかし、老人ホームや保育園等の社会福祉施設など世間ではそんなにたくさんない事業者向けのテナントでしたら大変です。

幼保連携型認定こども園「久慈幼稚園」

潰しが効く形態のテナントのデメリットは『競合テナントが多くある』と言う事です。
潰しが効かないテナントは数が少ない為に希少価値は高いですが、募集が大変です。
不景気の時は借り手が強い状態となるからです。

潰しが効かないテナントを設計・建築するケースのほとんどが『借り手が既に決まっている状態』での建築が大半ですが、あくまでも潰しが効かないという事を忘れないで欲しいです。

よって、きちんとした内容の契約(予約)を結んでおくことはもちろんの事、借り手の事業者が信頼できる会社かどうかも把握しておかないといけません。

ちなみに、実例ではこのような内容で大家さんのストレスを減らす予約契約もあります。

(解約条項)
甲(大家さん)と乙(借主)は10年間途中解約は出来ない事とする。
万が一、解約を申し入れる時は6カ月前までに書面にて通知する事とし、
解約申し入れを行う側が10年契約を満たせない残年数分の賃料を違約金として支払うこととする。
尚、保証金や敷金等がある場合にはその金額も含めた金額とする。

本当にこんなことが起きたらスムーズにいくとは思いませんが、何事も文面に残しておけば気持ちが少し楽になりますね。

借り手もそれくらいの覚悟を持って投資をしてもらう気持ちと計画が必要ですよね。

余談ですが、今はプライム市場(旧東証一部上場企業)と呼ばれている日本企業はこの信頼がおけるという『国内経済のお墨付き』である企業です。
このような企業側が借主であれば、大体のリスクを軽減できる状態に持っていけます。

ですが、こんな大企業に借りてもらうには中々大変です。
なぜなら、大企業は大企業と取引する傾向が強いからです。
どちらも安心を求めるという事ですね。

不動産投資ランキング

▲この記事がためになったら、応援クリックお願いします ☆クリックしてもらうととても嬉しいです!▼


にほんブログ村 企業ブログ 不動産業へにほんブログ村
最新情報をチェックしよう!