ホテル業が不動産賃貸業に参入します。

昨今、単身者向けの賃貸物件において、短期貸(1年未満のお部屋住まい)ニーズが増えております。
これは、期間が決まっている工事現場や職場の都合で転勤まではしなくても良い時に利用されるケースが多いからです。

単身者専門会社の大手不動産会社と言えば、『レオパレス21』が最も有名ですが、この数年で単身者向けの不動産業界に変革が訪れると私は思います。

まず、大きな要因は、『ホテル業が単身向け賃貸に参入できる』と言う点です。
通常、ホテルは日貸です。ホテル業法では、2週間未満の滞在には物件の管理者、管理室、フロントなどを設ける事が記されておりますが、ホテルは元々この条件をクリアしています。
また、2週間以上お部屋を貸すことについては制限はありません。

例えば、東横インなどのビジネスホテル業が、出張の多い企業へサービスの提案をしたとします。
『1日、光熱費込みで4,000円。しかも朝食付きの掃除付』
こんな条件であれば、月の支出は12万円程ですから、レオパレスよりもお得で安価となります。
レオパレスでは15万円~20万円以上かかるケースも多いです。

都心部ではもちろんのこと、地方部においてもビジネスホテルが多く建設されている地域があります。
そのホテルの課題は、『ホテルの稼働率を高く維持したいが、今のままでは経済や社会情勢の影響により不安定さを払拭できない』と言う点です。

おそらく、不動産的な考えや事業として考えた時に『1年未満の法人顧客をターゲット』とした新しいサービスを展開しやすいのはビズネスホテル業界でしょう。
その時には、レオパレス21のような旧態体質の運営では今までのように上手くはいかないと思います。

また、レオパレス21のような旧態体質の不動産会社は、『中心部に駐車場がほとんどない』という課題を抱えております。ビジネスホテルも同様な問題はあれど、ある程度の駐車場は確保しているため今までの運営をしている不動産会社に勝つ可能性は極めて高いと思います。

これに味をしめると、地方のさらに地方に簡易的なビジネスホテルを建設するという流れになります。
たくさん建設しても稼働は高くなりませんので、あくまでも適切な数だけ運営すれば『こんな田舎に便利なサービスで貸してくれるホテルだ』とたちまち短期貸のニーズを獲得する事もあり得ます。
実際には、『安価な中古物件を購入し、ホテルにリニューアルする』という案で進む事になると私は思います。

ビジネスホテル運営のリスクは、年間稼働率が60%程でも社員やスタッフの給料を支払い、黒字で運営できるかどうかの計算を間違ってはいけない事です。
よって、一つのビジネスホテルでも、1棟50世帯以上は必要でしょう。
少し遊び心で計算してみましょう。

50世帯×60%=30世帯
30世帯×12万円=360万円/月売上げ
▲月の平均光熱費(1世帯)2万円×30世帯=60万円
▲従業員(パート含む)一人平均賃金25万円×6名=150万円
※実際には社員1名とアルバイト・パートを8名ぐらいにするでしょう。そうすれば、社員に25万円+(パート8名×12万円程)で人件費を150万円より抑えて、生産性も上がります。
▲朝食にかかる食材費1日一人に500円×(30~40名分)×30日=45万円~60万円
▲事務用品や消耗品等の諸経費 ▲不明
この売上360万円で、人件費、食費、光熱費、諸経費(合計約270万円)などを賄い、しかも利益を出さなければいけません。ホテル用地の建設費を回収する事も重要だからです。

360万円-270万円=90万円(月)⇨年間1,000万円程の営業利益とした場合に、
ホテルの購入費用は15年くらいで回収できる見込みです。
もちろん、稼働率60%の計算です。さらに利益は1%上昇につき、月額15,000円程の利益が上昇する計算ですので、稼働率が70%であれば月の営業利益は100万円越え、稼働率80%で120万円の営業利益となる為、稼働率を上げる作業(顧客獲得の作業)をきちんとすれば利益を上げやすい商売です。

この計算は、『地方』や『田舎』をベースとしていますで、地方でも中心地等になれば、売上も稼働率も見込みやすい『不動産会社に流れている顧客の獲得』すなわち、短期貸のニーズを奪いに行くことにより新たなビジネスホテル業界の利益を獲得できます。

もう一点、忘れてはいけないのが『民泊業』です。新型コロナウイルスによる自粛ムードが解禁されればおそらくまた息を吹き返す可能性がありますが、民泊業者もこの短期貸のニーズを多く獲得したいはずです。

ビジネスホテル業界 VS 民泊業者 VS 不動産会社という三つ巴の市場競争が始まるのも時間の問題だと思います。一番良いのは、この三社が連携し、お互いの良い点、悪い点を補えるようになれば市場価値やサービスの価値もさらに高まるのではないでしょうか。

今のままの国内経済状態(物価は上がるが賃金は上がらない状態)においては、『不動産の市場価格におけるお部屋の貸出家賃』と『サービス内容』により新たな不動産業界への参入者が増えることになるでしょう。

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