とある不動産や(血の9話)

●●子のすすり泣きが建物内に響き渡る。
●●子の娘も大きな声で泣き叫んでいる。

イカツイお兄さんが急いで二人のそばに駆けつける。

母親に抱き抱えられた娘の両目からたくさんの血が流れている。

まるで赤い血の涙を流しているような、とても痛々しい姿で娘は泣き叫ぶ。

(イカツイお兄さん)
『救急車を!』

イカツイお兄さんは●●子に服を着せ、●●子の娘を抱きかかえ、
建物の外へと走り出す。

じきに救急車が来て、娘を救急搬送する。
娘のそばで●●子はずっと泣いている。
イカツイお兄さんは苦しんでいる●●子と娘を見つめ、泣いている。

病院で娘の緊急手術が始まる。
時は夜の7時ころ。
本当ならイカツイお兄さんと●●子、そして娘の三人で仲良く晩御飯を食べている時間だ。

4時間くらいたったころ、一人の医者が歩いてきた。
(医者)
『何とか命に問題はありません。ただ、大変残念なことですが。。』

(イカツイお兄さん)
『ただ、なんですか?』

(医者)
『両目は失明状態です。右目は完全に手術しても間に合いませんでした。
左目はかろうじて処置可能な限りを尽くしましたが、』
(イカツイお兄さん)
『どうにかならないですか?まだ4歳になったばかりなんです。
この子の人生はこれからなんです。
どうか、どうか、お願いします。』

●●子は現実が受け入れられずに失神した。
近くにいた看護師が●●子を病室のベッドへと運ぶ。

(医者)
『左目は、ドナーさえ見つかれば何とか手術出来るかもしれません。
しかし、こういったケースでドナーが見つかるケースは稀なんです。
さらに深刻なのは、まだ幼い目の筋肉の為、時間が経つにつれ手術は不可能になります。』

この病院の廊下は、まるで仏も神も存在しないと伝えているような静かで冷たい空気を感じさせる。
次の瞬間、医者と隣にいる看護士は言葉をなくす。

イカツイお兄さんは、看護士のポケットに入っていたハサミを奪い、
自分の左目のまわりを深く刺し、掘り出した。

まるで獣が怒りを獲物にぶつけるかのうような殺気を放ち、
誰も動くことはできなかった。
イカツイお兄さんの怒りが病院内に充満し、
イカツイお兄さんの『無言の叫び』が響き渡るようだ。
怒りと憎しみを両手に込め、ただ一度も瞬きもせずに左目をくり抜こうとする。

イカツイお兄さんは、その場で自分の左目を取り出し、
そして、医者に手渡した。

(イカツイお兄さん)
『すぐに手術をしてやってくれ。手術しないならお前を殺す。』

医者は慌ててイカツイお兄さんの左目を持ったまま手術室に入った。

手術は7時間にも及んだ。
そして、かろうじて娘の左目は視力を取り戻すことになる。

失神した●●子は、
廃ビルでストーカー男と蛇にされた悲惨な出来事を夢に見る。
言葉では言い表せない、本当に悲惨な残忍極まりない仕打ちだ。

汗を大量にかいて、起き上がった●●子のそばで、イカツイお兄さんが眠っている。

●●子がイカツイお兄さんにそっと体を寄せ、髪を触ると、そこには
『左目』を包帯でグルグル巻きにされているイカツイお兄さんがいた。

医者と看護師が病室に入って来た。
(医者)
『何とか娘さんの左目の手術は成功しました。こんなこと、本当に例外ですので、なるべく早めに皆さん出て行ってください。』

●●子は医者の言葉の意味が理解できた。
イカツイお兄さんが娘に左目を提供したこと。
娘とイカツイお兄さんはそれぞれ片目となったこと。

●●子は、ただただ泣いていた。

続く。

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