双子や三つ子といった多胎児を育てる家庭を支援するため、2020年度から育児サポーター派遣事業が開始されるようです。
多胎児家庭に特化した国の支援策は初めて。
多胎児家庭は外出が難しかったり、 特に新生時期は授乳が1日数十回に及ぶことなどの問題を抱えて孤立しがちで、その負担軽減が図られます。
出生数に占める多胎児の割合は、1980年の1.2%から2018年は2.0%と増えています。
出生時の母親の年齢が40~44歳では2.5%、45歳以上は6.5%と跳ね上がり、不妊治療の普及が背景にあると見られています。
支援策は、
多胎児の育児経験がある親や助産師ら「育児サポーター」を各家庭に派遣。
家事やおむつ替えなどを手伝ったり、外出に付き添ったりします。
実施主体は市区町村で、国が費用の半額を補助。
厚労省は支援に約240億円計上しており、その一部を充てます。
このほか、親同士をつなぐ交流会の開催や、妊娠期から育児経験者らが母親を訪ね、相談に乗る事業も実施します。
多胎児の育児をめぐっては愛知県で18年、三つ子の母親が次男を床にたたきつけて死亡させる虐待事件が発生しました。
母親は、「代わる代わる三つ子が泣き、自殺する事ばかり考えていた」と言います。
床にたたきつけられて亡くなったこの母親の次男のことを思うと、いたたまれない気持ちになります。
ですがこの母親も、まともな睡眠がとれない中、追い込まれていく様子がうかがい知れてこちらも悲しくなります。
一人でも育てるのは大変なのに、一気に3人の育児を抱え込むその大変さは、計り知れません。
核家族化が進む中、育児の悩みを抱え込む親の姿が浮き彫りになった悲しい事件です。
国が支援策を打ち出したことは大きな前進だと思います。
しかし国の支援だけでなく社会全体の雰囲気が子育てしやすいように変わらないことには、根本的な問題の解決には至っていかないと思います。
日本の出生率を上げていくためにも、
経済面を心配しなくてもいいような子どもを産みやすい社会に、
社会全体が子どもを暖かく見守ってくれる環境になっていくことを、切に願います。