インボイス制度 甘く考えていてはダメ

本日は『インボイス制度』について『実際の事例』を下にご紹介させて頂きます。

インボイス制度と聞くと、『複雑そうで、考えるのも嫌だ』と思う人も多いでしょう。
お気持ちはよく分かります。しかし、甘く考えていると『たくさんの関係者(商売相手や借主)』にご迷惑をかける要素が多く、後から、『なんでインボイス制度登録を受けていないんですか?登録もしていないのにどうして消費税を受け取っているのですか?』と大きなクレームやトラブルに発展する事が想像できます。

私流にはなりますが、インボイス制度について簡単に解説致します

インボイス制度とは、2つの要素があります

一つ目は、
『お客様や商売相手からお金を頂くときに、消費税も併せて、きちんと支払ってもらえる制度』
となります

二つ目は、
『消費税を併せて支払ってくれた人や会社が経費として計上出来る事』

つまり、インボイス制度に加入登録していない『個人事業主や法人』は、消費税を堂々と頂く事が出来なくなり、お金を支払ってくれた人に『損をさせる』という事になります。
※一部、個人の経費(領収書)を必要としない業種や人は除きます
※(例)床屋さん、美容室、マッサージ店など・・『あくまでもお金を支払う側(お客さん)が経費(領収書)を必要としない場合』です。

簡単に言うと、このイメージで良いかと思います。
詳しくきちんと把握したい方は、国税庁の『お問い合わせの多い質問』を参照されてください。

『お問い合わせの多い質問~国税庁ホームページ』

私が実際に経験した最近の事で、『店舗の大家さんがインボイス未登録』でありながら、
消費税を借手に貰い続けようとしていたことが判明しました。
これは、『借手が損をし、不公平になる』と思い、接客に同席しました。

何が損かというご説明を、なるべく分かりやすくご説明させて頂きます。

(例)
・現在は、テナント賃料が月額30万円で借りている飲食店がある。
消費税は賃料×10%の為、実際には、借主さんは大家さんに33万円を毎月振り込んでいる。

・大家さんはインボイス(正式名称:適格請求書発行事業者登録番号)を受けていない。

この流れで、今年(令和5年)10月1日を迎えますと、10月分の賃料より、借主さんは3万円(消費税分)をただ支払うだけの事となります。
つまり、3万円の消費税支払いについては、『経費』として認められず、年間36万円の、ただの出費となります。
大家さんは、年間36万円の消費税を受けとっているのに、国に消費税を納める事が無い為、利益となります。

私は、分かりやすく『経費』と表現していますが、正式には、借主さんは『今までの仕入税額控除、月額消費税3万円)※年間36万円』が10月より『賃料の仕入税額控除が無し』となり、消費税については控除が受けれないという事になるそうです。

自営業者や会社にとって、『必要とされる経費』が『経費として認められない』となりますと、余分なお金として支出が増え、経営を苦しめることになります。

なので、『インボイス登録をしていない業者は仕事が減る』と言われているのです。
経費として認められないお金を請求する業者と今後も取引するのは嫌だという事です。

多くの大家さん(消費税を貰っている大家)は、このことを真剣によく考えたほうがいいと思います。

インボイスについては、『こんなの国の増税行為だ!違法だ!自営業者や個人事業主を殺す気か』という政党や市民の声もあります。
しかし、現時点で、会社勤め以外(個人事業主や法人)の約6割がインボイス登録を済ませているそうなので、今更引くに引けないというのも現実でしょう。
※登録している人が馬鹿を見る事になってはいけないからです。

たしかに『増税』の性質も否定できません。
しかし、冷静に考えれば『個人やちょっとした団体』では太刀打ち出来ない相手(国)です。
私は個人的には『あきらめて、インボイス登録を行い、明日からの商売に目を向ける』事のほうが賢い選択だと思います。

反対にポジティブにとらえると、『堂々と消費税を頂ける』という事です。
しかも実際には、10%の消費税を頂いても、国に治めるのは頂いた消費税の内2割~6割です。
(業種によって変わります。また元々の免税事業者(売上1,000万円以下)の方がインボイス登録した場合は特例措置もあります)

インボイス登録したら、どうすればいいのか?

請求書に『適格請求書発行事業登録番号:T111●●●●●』と言う風に、きちんと記載すれば良いのです。
また請求書(出すほうも、受け取るほうも)は電子保存(パソコンなどの中できちんと分かりやすく保存)する必要があります。
※インボイス登録が完了したら、1か月後くらいに『適格請求書発行事業登録番号:T111●●●●●』と言う風に、
あなた(個人・法人)の登録番号がネットもしくは郵送で届きます。

ここで、大半の方々が思う事は、
『消費税の申告』にも新たにお金と手間がかかる。めんどくさい。
という事です。
その通りですが、仕方ありませんよね。最初は誰もが慣れないかもしれませんが、数年後には『当たり前』となっているでしょう。

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