ラーメン店の事業利回り

先日、某地方において『ラーメン店に出資(投資)』をしないかというお誘いを受けました。
ここで、そのラーメン店経営者に色々お話を伺い、『ラーメン店の考え方』をご教授頂きました。

まず、ラーメン店と不動産事業の違いは、『顧客(お客様)が来る可能性(イメージの湧き方)』が違うなと感じました。

不動産の賃貸業であれば、『ある程度の間取り物件を準備すれば、ある程度は入居者を確保できる』というイメージは持ちやすいです。
しかし、飲食店の客商売は『別物』です。リスクが細かく存在するのが大きな要因だと感じます。

~飲食店のリスクと課題~

①人の問題
②食材・光熱費・家賃等のコスト問題
③売上・利益率の採算分岐点
④営業時間帯の問題
⑤立地の問題
⑥火災や漏水などの災難問題
⑦一定の顧客を取り込む戦略問題

こうしてみると、普段何気に存在している飲食店は、細かいリスクを背負ってお商売をされているのが良く分かりますね。

⑤⑦の問題・課題は『経験値』や『データ』を用いて解決に向かう経営者が多いと思います。
⑥の課題は、『火災保険(家財保険)※水災や水漏れ込』に加入し、かつ、事故が起きないように育成と安全システムをきちんと整える事で大半はクリアできるかと思います。

④の営業時間については、面白いお話しを聞けました。
ラーメン店のほとんどが『営業中はガスをつけっぱなし』にしているそうです。

これは、ラーメンのスープが固まらないようにするためであり、また新鮮な出来立てラーメンを提供する為に必須だという経営者が多いです。
よって、光熱費(特にガス代)がとても高くなります。

よく、お昼の14時~17時は休憩時間としているラーメン店が多いですが、このガス代も大きな要因だそうです。お昼のピークが過ぎてから客足が遠のく可能性のあるお店では『昼休憩(ガス代の抑制)』は重要だそうです。

反対に、ピークを過ぎてもお客さんが来る立地のお店(繁華街や街の中心地に加え、公益ギャンブル場近く等)では、『なるべくガスをつけっぱなしにしなくて良い運営』を目指す事により『利益額のUP』が見込めそうですね。

ここで、③の売上・利益率(損益分岐点など)を注視します。
私がお話しを伺ったラーメン店の経営者は2店舗を運営中です。3店舗目に約500万円程を誰かに出資してもらい運営したい計画です。

1杯のラーメンが800円だとします。
この経営者のコスト計算は、『原価(材料費)が20%未満』とし、人件費のコストは『45%』となるそうです。加えて、光熱費と店舗家賃を按分すると『全体のコストは86%程』となります。

~ラーメン1杯 800円(仮定)~
◆材料費 20%(160円)
◆人件費 45%(360円)
◆光熱費・家賃 21%(168円)
全体のコストは、688円(86%)
こう見ると、800円から688円を引いた金額が営業利益となるわけですから、そんなに利益額は高くはないですよね

 

例えば、20席のお店で、お昼から夕方18時まで営業するとして、4回転(20席満席が4回)した場合には、
800円×20席×4回=64,000円(一日の売上)となります。
毎月22日間営業したと仮定した場合に、22日×64,000円=1,408,000円(月の売上)

上記のコストを見てみると、
1,408,000円×14%(営業利益)=197,120円

 

これでは事業としてのうま味が弱い上に、細かいリスクや課題が多い為『この事業計画』では投資はしない方が良いと思う訳です。
やはり、投資をするからには、ある程度の利益も見込まなければいけませんが、ラーメン店を運営してもらっている店舗経営者にも利益が無いと、営業は続かないと思うのが最大の要因です。
また、利益追求で変に人件費を下げる人は、私は嫌いです。
やはり『人』あっての客商売ですので、人を安価に考える人も長続きはしないというのが私の考えです。
では、このラーメン店は『投資価値無し』なのでしょうか。
実は、この記事の内容は『お話』を聞いただけで、私が独自に算出した内容です。
※ラーメン1杯がいくらの単価で出すかはきいておりません。
※家賃・光熱費は不動産業に従事しているため大方近いコストだと思います。
~ラーメン経営者の考え~
◆ 1杯単価 850円   
◆サイドメニューの補填 
・唐揚げセット(白ご飯付300円)
・唐揚げ 250円
・ごはん小 100円、 ごはん大 150円
・瓶ビール 600円
・焼酎1杯 400円
・ハイボール1杯 550円
・ソフトドリンク1杯 250円

値段は細かく聞いておりませんが、このようなメニューにする予定と聞いております。
要するには、客単価が800円ではなく、1,000円~1,200円となるそうです。
また、3店舗目の立地は地方とはいえ、繁華街のど真ん中にある為『観光客』も見込め、『お酒』を注文する確率も高い気がします。

そして、平日は3.5~4回転とし、週末や観光シーズンでは1日6回転の可能性も高いエリアです。
※思っていたよりも、お昼から夜19時までの人通りは多いです。

とすると、
1,100円×20席×3.5回転=77,000円(平日の1日売上)
1,100円×20席×6回転=132,000円(週末や祭日の1日売上)

22日間中、平均の週末祭日は約8日、平日は14日とした場合月の売上見込みは213万円となります。

ここで私の辛い利益計算に当てはめてみると213万円の利益率14%は298,000円となります。

これだと、500万円の投資に対して『毎月売上の5%を得られる』とする投資契約であれば、毎月10万円は見込め、投資利回りは『10万円×12ヶ月÷500万×100=24%の事業利回り』となりますね。
単純に4年と2カ月で元本回収、その後は利益と考える投資となります。

とはいえ、飲食店には『必ずお客が来る』という保証もなく、数字通りに行くのか、数字以上の成果となるかは『やってみないとわからない』というのも本質ですよね。

この『やってみないとわからない』という内容を、少しでも『やってみる前から成功できる準備となっている』と言う状態まで計画準備が出来るかどうかが『投資のポイント』となりそうですね。

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