賃貸契約と売買取引の減少

この10年間の間でおそらく過去最低の推移を辿っている賃貸市場と売買取引市場。
いったいどのような状態となっているのか、皆さんは気になりませんか?

賃貸市場においては、新型コロナウイルスの緊急事態宣言等を原因とし、過去最低ともいえる人の流れが止まっている状態です。
8月末~10月は、2月3月の賃貸最大の繁忙時期についで2番目に取引の多いのが通常です。
会社・企業等の転勤や長期出張は、2月~4月初旬に大きく動きます。
また、学生や新社会人などの暮らしにおいても2月~4月初旬に集中するのが通常ですので、本来はこの1年間で最も重要な賃貸繁忙期にどれだけの入居希望者を獲得できるかがカギとなっていました。
しかし、新型コロナの影響により人の流れが鈍化し、また不景気による雇用の悪化に伴い過去10年間で最も賃貸契約が少ない年となったと思います。

この人の動きが鈍化している中にもかかわらず、退去者は減りません。
これは、不景気による影響から『賃貸を解約し、実家住まいをする』という人の増加や、
今の家賃が支払えなくなる恐れから今住んでいる賃貸を解約し、友達や恋人、兄弟姉妹などで助け合い同居する事となった人たちも増えている事です。

この流れは空き部屋を抱える大家や不動産管理会社にとっては辛い日々となります。
1日でも早く空き部屋の不安やストレスから抜け出したい大家や不動産会社は数少ない入居者を獲得するために勝負に出ます。

私のまわりで勝負をしかけて何とか空き部屋を埋めて今の困難な状況から少し抜け出した大家・不動産会社の例を上げます。

★空き部屋対策の勝負を仕掛けた大家・不動産会社の行動

1,家賃を下げた(平均で3,000円~8,000円)※1部屋5,000円下げている物件が多いです。
2,入居者契約を取得してくれた賃貸会社に報酬を家賃の3カ月~5カ月間支払った。
 ※通常の報酬(広告料や業務報酬という名称です)は家賃の2カ月分ほど
3,入居者にフリーレント(無料で住める期間)を1カ月~3カ月程サービスした。
4,入居者が欲している設備(家電やウォシュレット等)を付けた
5,宅配BOXを設置した(目安としては物件の合計世帯数×30%のBOX数は必要)
6,思い切ってリフォームを実施し部屋を清潔にオシャレに改装した
7,出来る賃貸営業マンに空き部屋の優先協力をお願いし、成功報酬も約束した。

上記項目7つについて、全ての対策を施した大家はほとんどいませんが、空き部屋を埋めた大家さんは上記項目から4つは実施している様子です。

私は、③と④と⑥と⑦を実施しました。
⑦については、色々な意見・考え方があると思います。しかし、私には得策だと判断して報酬約束を喜んで行います。それだけ賃貸営業の営業力は重要です。

⑥のリフォームは、今年から徐々に行い(計4部屋の実施)費用にして1部屋25万円はかかっております。
最新のフローリング使用にクロスの張替、居室天井にはダウンライトを施工し明るく清潔感があるようにして頂きました。原価で税込み18万円程、業者の利益は7万円程です。
私のようなある程度現場を理解している人間が安易に値引きすると心象は悪くなります。
あえて、利益には触れず、『管理会社さんの手配による作業にお任せ致します』という誠意を見せ、リフォーム施工完了が間近となった時に菓子折りを持参し、『無理は言えませんが、極力早めの入居付けをして頂け得ると助かります。ぜひお力を貸してください』と素直に頭を下げ、賃貸営業マンには『私の勝手なお気持ちにはなりますが、入居付けをしてくださった方には、労務を労いお礼金を◎万円お支払いさせて頂きます。』と固い約束をし完了です。

これで何とか私が今できる大家業のベストでした。
加えて物件清掃など今の入居者サービスにも手を抜かずに継続中です。
とはいえ、賃貸契約の報酬を3カ月、中には5カ月支払う手段を取った大家には勝てません。
しかもフリーレントも惜しみなくつけてきます。ここまでできる大家は覚悟があるのか、資金に余裕があるのか、それとも両方を持ち合わせているかもしれませんね。

家賃の値下げについては、不動産会社や多くの大家から聞いた大体の値段ですが、東京の物件を持っている大家なんて、1LDKで、1部屋15,000円も下げて募集しているという人もいました。
神戸の物件を持っている大家は『戸建て物件の賃料を1万円下げて、ペット可にして、エアコン2台とファミリー層が喜ぶ大型の冷蔵庫を付けてあげて募集している』というのです。

上には上がいると言いますが、不動産業界ではまさしく資産家と言われる人が多く存在します。
所有物件数も多いですし、資金も豊富、なのにここぞという時の勝負が早くて、内容もグレードが高い。

去年までは、『○○さん、本当によく動くよね。えらいと思うけど、そこまで努力しなくても大丈夫じゃないか?管理会社に任せているのだから』と余裕を見せていた大家さん(怠けていた大家)が、今は顔が暗く下を向き始めました。

今まで努力していない事を急に行うという事は、それなりの態度・支出・判断が極めて重要です。
日ごろから不動産会社や賃貸の営業マンなどと人間関係を重宝されている大家には難しくない事となりますが、やはり空き部屋が増えている状況で出費や労務が増える決断をするのには覚悟もいりますよね。
じり貧の大家もいる為、『このままだと破産する』と精神的に追い込まれている人も増えている気がします。

私は自分にも常に言い聞かせますが、
『不動産大家業は、自己責任であり、自分の物件の最高責任者・経営者は自分自身です』
よって、欲がありチャレンジしたこの産業に後悔や言い訳などは不要です。
今と前を向いて兆しを探すことに専念する事が需要です。

賃貸市場がこのような不況にある為、当然に売買取引を連鎖しています。
『本当にこの物件を買っても上手くいくだろうか。もう少し慎重に見極めよう』
住宅ローン審査が受かりやすい属性の人や、不動産投資物件の融資がつきやすい人でも安易に動きません。

情報化社会の良し悪しが徐々に国内不動産にも影響を与えています。
『損をしたくない。失敗したくない』
これが不景気の大きな特徴です。

景気がなんとなくいいと感じたり、自分の懐が温かくなると人は『何か投資したい、儲かる方法はないか』という欲が出てきます。不景気は反対の心理となります。『損はしたくない』と。

ネットや一部の不動産サイトでは、
『中古市場は影響なく取引は続いている』と謳っている広告もありますが、
それは一部の地域ではそうでも、全体的には明らかに取引金額は減少しています。
ただ、住宅市場では不動産投資物件よりも価格が低く、件数を稼げるため『取引件数はそこまで減っていない』事を盾に、『売買取引は極度の問題なく取り行っていますよ』という営業マンもいる。

もう一度お伝え致しますが、全体的には売買取引額は減少しています。
この流れは、賃貸も売買も同じで値下げが流行します。
その値段はお得なのか、それとも妥当なのか、それともまだ下がる可能性があるのか。
私には細かくは分かっておりませんが、不景気がまだまだ続く気配を感じますので不動産産業においての明るい話題は益々減ると思います。

一人で出来る事なんてたかがしれています。
今こそ、この不況に一緒に挑んでくれる仲間を作るべきだと思います。
そして、まずは仲間になってほしい人にあなたは何を与えられるかを考える事です。
与えてもらう事優先では中々事は前に進みません。不思議ですが、そういうものだと私は思います。

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