事業に失敗したOYOLIFE(オヨライフ)

2021年3月に、不動産テックを主導して賃貸管理運営事業を営んできたOYOLIFE(オヨライフ)が、
一部サービスは継続する意思表示はあるものの、実質、事業に失敗したことを明らかにしました。

国内の不動産市場においては、このOYOLIFEの失敗例を教訓にし、勉強する価値があります。

まず、OYOLIFE(オヨライフ)について、簡単に説明致します。

『インド資本のホテル事業をメインに事業を行ってきたインドの会社です』

資本提携として、今や5兆円企業のソフトバンクグループと手を組みました。

高級ホテルから、簡易的なホテル運営まで手掛けて来たOYOグループ。

ソフトバンクグループの資本協力を得て、5年程までに日本に上陸しました。

いわば、『日本の不動産業界における黒船』の存在です。

OYOは、国内主要都市のアパートマンションを部屋単位で大家(物件所有者)より借上げ、
次第に丸ごと建物を借上げ、その借上げた物件を入居者にまた貸し(転貸)をする事業スタイルです。

ここまでは、国内にも数多く存在する『サブリース事業』となんら変わりません。
しかしOYOLIFEは、
『スマホで簡単に検索でき、印鑑もいらずに簡単にお部屋の入居契約が可能』
という事を売りに事業を伸ばそうと試みます。

一般的な不動産運営と違い、営業マンに全く合わずに部屋の検索から契約、入居まで出来る仕組みは
一見画期的に見えました。

この仕組み自体は悪くないと思います。
失敗した要因は、
『仕組みを支える仕組み作りの手抜きと費用バランスの失敗』
この2点が大きな失敗の要因だと思います。

まず、仕組みを支える仕組み作りの失敗とは、
『管理・運営する為のリスク対応』において甘すぎたという点です。

裁判にもなったそうですが、
『入居者から鍵の開け方を入居してから4日間も教えてもらえていなかった』
というクレームや、
『想像していた部屋よりも狭くて、しかも家賃も高い』
などなど、入居者ニーズと真逆の展開をしてしまった結果も見受けられます。

不動産賃貸業において重要な仕組みには、
『入居者の成約を取る事』と『日々、適切に入居者・物件・入出金の管理を行う事』
が重要です。

入居者成約においては、インドならではのインターネットをフル活用した仕組みは評価され、
市場にも受け入れられたと思います。
※一部、不動産に関係する監督官庁には嫌がられた仕組みです。
(重要事項説明もネットの為、トラブル防止になっていないというのが大きな要因の一つでしょう)

ただ、日々の管理業務においては手抜きと言われてもしょうがないほどのずさんさが目立ちました。

もしかしたら、入居者に鍵の説明をきちんとしているつもりなのかもしれません。
もしかしたら、入居者にお部屋の重要な内容をお伝えしたのかもしれません。
しかし、国内不動産において入居者には分かるまで、分かりやすく伝えないとトラブルに発展するという市場の事実を甘くとらえていたのか、気にしていなかったのかもしれません。

インドと日本では文化も違います。
日本人は、『悪い事を後から言われることが大嫌いです!』

OYOLIFE側は、『充分に説明義務は果たしている』という認識かも知れませんが、
顧客が『説明不十分』となれば、何らかの対策を講じる必要があります。

海外では、国により『そこまで顧客へ細かく接しない』という文化もあります。

日本という国は、世界一位の『サービス特化国』です。
このおもてなし、細かい配慮を欠いては日本での成功は難しいでしょう。

もう1点、
『費用バランスの失敗』について、

これは、新型コロナの影響や、ホテル業の衰退による資金不足も原因だとは思いますが、
OYOLIFEの国内賃貸事業の原点である、『アパートマンションの一括借上げの失敗』が要因しています。

一部の都心では、
『私のアパートを相場よりも高くOYOLIFEが借上げてくれていた』
という物件所有者の声も多いです。

OYOLIFEとしては、貸出す部屋が無ければ商売にならない為、
『大家さん、相場よりも高く借りるのだから、弊社に丸ごと建物ごと貸してください』
という商法により、管理物件を増やしていました。

高く借りるという事は、また貸し(転貸)する入居希望者へはさらに高く貸すこととなります。

これでは、資金力が続く限り物件は増やせても入居者のニーズは満たせなくなります。

本来、サブリース(一括借上)賃料の目安は、
『近隣の相場賃料×70%~85%』を目安としなければ、
入居者のニーズと自社の利益を満たせません。

大家さんだけ儲かるなんて言う仕組みには終わりが到来します。
現に、OYOLIFEは、2019年より、元々借上げていた物件を次々に解約されてきました。

これにて事業失敗となります。

では、OYOLIFEのような仕組みでは中々成功は難しいのでしょうか?
実は、この仕組みで成功を実現できる企業が数社あります。

それが大東建託、大和ハウス、積水ハウス、東建コーポレーション、レオパレス21です。
この5社の共通点は、
『サブリースしている物件数が全国にある事』
『サブリース賃料が相場家賃×70%~85%で適切に運営できる基盤がある事』

この2点です。

OYOLIFEは、この5社のいずれかを買収もしくは提携すべきでしたね!

『本音で語る不動産屋さん(ホンカル)』は、
【現代社会問題や時事ニュース】を不動産屋の視点より記載しています。
ぜひ『読者登録』をお願いします。
不動産投資ランキング

▲この記事がためになったら、応援クリックお願いします ☆クリックしてもらうととても嬉しいです!▼


にほんブログ村 企業ブログ 不動産業へにほんブログ村
最新情報をチェックしよう!